大阪出身の俳優・池田純矢が、“演劇とは娯楽であるべきだ”の理念のもと、自身で作・演出を手掛けるエン*ゲキシリーズの最新作エン*ゲキ#05『-4D-imetor』。ついに2021年8月28日(土)に、大阪公演の幕があがる。

シリーズ5作目となる『-4D-imetor』は、“量子力学”をテーマに壮大なスケールで繰り広げられる謎解きミステリーで、乃木坂46卒業後、女優として様々な舞台での活躍に注目を集める生駒里奈と池田とのW主演。

二人がミステリーに必要不可欠な“相棒”としてタッグを組み、四次元世界と超能力を“イリュージョンマジック”で魅せながら、奇術✕謎解き✕演劇の融合で贈る体感型演劇。イリュージョン監修は、衝撃的なマジックの“ブレインダイブ”でも話題を呼んでいるプロマジシャン新子景視。共演には、村田充、松島庄汰、田村心、阿南健治と個性豊かなキャストが揃った。大阪公演最終日には、ライブ配信も行われる。

8月27日(金)に公開ゲネプロが行われ、その後、W主演の生駒と池田による取材会が行われた。


ーーいよいよ、大阪公演が明日から始まります。今の心境、いかがですか?

池田:まず大阪まで持ってこられたのは奇跡的な事だと、感謝だなと思います。奇跡だなー有り難いなーという気持ちでいっぱいですね。やはりこの状況下でございますから、他の作品もいわゆる無傷で駆け抜けられた作品って、数えられるくらいしかなんじゃないかなと思いますし、どの作品も同じ時期に上演している作品は途中で一時中止だったりだとか、例えば稽古をしていたけれども本番を迎えられなかっただったりという公演がたくさんある中で、この『-4D-imetor』という作品は1公演も欠けることなく東京公演を駆け抜けまして、そしてその後、こうして大阪に持ってくることができて、そして明日無事に幕が開きそうだという、そういう本当に奇跡的な事に感謝しています、そういう気持ちですね。

生駒:池田さんがほぼほぼ言ってくれましたけど…(笑)。

私は秋田出身なので、東京公演に母親や家族が見に来る予定だったんですけど、やっぱりこの状況下で行けないと。お盆にも実家にも帰れないという状況が、身近にあると、エンタメっていうものはどうなんだろうって、すごく演じる身としては悩んでたんですけど、そういう思いもありつつ、見に来てくださったお客様が大きい拍手で、私たちのことをあたたかく包んでくださって、そういうことがあることで人間って頑張れるなと思ったので、そういう輪を最後まで繋げていきたいなと感じています。

ーー本日、公開ゲネプロが行われましたが、東京は紀伊國屋ホール、大阪は、COOL JAPAN PARK OSAKA TTホールと、ホールの広さも変わりますが、場所が変わっていかがですか?

池田:そもそもキャパシティーが倍ほど違うということもあり、舞台の広さも広くなったので、それに伴って照明や音響も東京公演よりシステムがパワーアップしています。そこが底上げされることによって俳優の皆さんの芝居もまた1つパワーが上がったんじゃないかなと感じます。さっき楽屋でも2人で『東京公演と全然違うね~』と話していたんです。そしたら、いこちゃんが『探求心を放棄したくない』って言ったからカッコいい~と思って(笑)。この2人が変われば自ずとみんな変わっていくし、東京公演とはまた一味違った切り口の作品になったと思います。

生駒:体力が落ちました(笑)。東京公演から10日ほど空いて、このご時世ですので私は1ミリも仕事以外は家から出ず、寝てたら体力がなくなって。昨日の場当たりからすごくしんどくて。劇場が広くなったので、いつものパンチやキックでは当たらないっていう(笑)。むちゃくちゃ大変だったんですけど、今のゲネで自分の体力が復活したので、空間が変わると本当に、同じ作品でも違うんだなというのを毎回感じるんですけど、今回は、アクションがあったので、また新しい感覚だったので、それを初日にぶつけたいなと思っています。

ーー最終日の日曜日には、12時公演と16時公演でライブ配信も行われますが、いかがですか?

池田:舞台演劇っていうものは、僕はもちろん生で観てこそだっていうのは、それは常に思っているんですけれども、そこには血の通った空気というかそういったものが、まとっていると思いますので、劇場っていう空間をとても大事にしているんです。とはいえ、この状況下ですので、劇場に足を運び辛いという方もいらっしゃいますし、会場は大阪ですから、秋田にいる方とか東京にいる方とかいろんな方にこの作品に触れていただきたいと思った時に、ライブ配信っていうのは良い方法だなと思います。カット割りされているっていうのは自分の目線で切り取ることは出来ないんですけれども、作り手の思いであったりだとか、細かい表情のお芝居だったり、実は、客席からは見えない顔とか、そういうものも事細かに見れると思います。そして今回はアーカイブもあるという事で何度も楽しんでいただけるという、今回の作品ほど2度目3度目がおいしくなる作品はなかなかないのではと思いますので、それは配信の魅力ならではと思いますね。

生駒:『-4D-imetor』の配信チームのカット割りが、めちゃめちゃうまいんですよ。びびりちらしました(笑)。すみません、ノアの影響で言葉が…(笑)、生駒里奈が使う言葉じゃないです(笑)。エヘヘ(笑)。東京公演の初日の配信見たんですけど、ここでこの人の表情が欲しいとか、全部びたハマりしてたんで、配信になると、どこかお話がブツブツ切れたりとか演じる側としてはあったりしたんですけど、びっくりです。『-4D-imetor』の配信は、本当に劇場にいるような感覚になる不思議なパワーがあるので、是非、離れていてもその場にいる気持ちを配信でも味わって頂けたらと思います。

ーーゲネプロを観て、トリックがすごかったですが、演じている方はどう感じていますか?

池田:どのトリックも超能力なんで! 超能力です!(笑)。ただ1つ、蛇足ではありますが付け加えるなら、すべて裏側は地味で疲れます(笑)。ダイナミックマジックショーと原理は一緒。パッケージを派手にするかしないか。今回はあえて派手にしていなくて、物語に溶け込むようにイリュージョンマジックを排出しています。なので、お客様がそんなに驚かないというのが僕の中では理想で、お客様が物語に集中している中で過ぎ去っていくようにと。『あのイリュージョンどうやってやったの!?すごいな!?』って思われてしまったら逆に物語の邪魔になってしまう。できるだけミニマムに、ミニマムに、というところを頑張って作ってきました。それが上手くハマっているのかなと思います。

生駒:全国のマジシャンの方に言いたい! すごくうまくなったので使ってください! 「生駒消えま~す」っていうのがうまくなったので!(使ってくれるの)待ってま~す。私はアシスタントの方でお願い致します(笑)。ほんとにマジック、上手なんです! 見えてないところで超頑張ってるんですよ!

ーー最後に、とっておきのメッセージをお願いします!

池田:やっぱり出口がないと作品をつくる意味がないと僕は思っています。その出口というのはお客様に受け取っていただく事だと思っています。今日は記者の皆様ですけれども、観ていただけて、本当に嬉しく思います。我々は外にも食べに行くこともなく、稽古場と家の往復しかせず、稽古を一カ月以上ずっと積み上げきました。何故頑張るのか?というと、やっぱりそこには受け取るお客様がいてからこそなんです。そしてその人たちに楽しいと感じていただけると、我々はもっと楽しくなる。我々はそれでしか生きている価値を見出せないっていう人間なんですよね。明日またとっておきの1公演をお客様にお届けする事ができる。まだあと4回も出来る。こんな幸せなことはない。と本当に心から思っています。舞台を観ている時間は、配信で見ている時間は、何も考えず、この作品というエンターテインメントに乗っかって、ジェットコースターのように楽しんでいただければ、それだけで我々は大満足でございますので、是非作品の出口を作って下さいというか、受け取っていただければ幸いでございます。

生駒:(池田に対して)全部言ってんじゃねえ!! 全部言いやがる!いっつも私は最初に言うときは残してますよ! なんだこの人は!(笑)。すごい良いこと言ってましたね。自分のことで恐縮ですが、今年10周年を迎えることができて、平々凡々の田舎で育ったただの女の子が、芸能界で10年生き残れてすごく嬉しくて、その生き残った理由は、誰かの笑顔を作るためにエンタメをやっていきたいなという覚悟をもって今ここに立っているからなんですけど、そういうことをやらせていただける場所をこういう風にもらって、そして皆さんにそれを文章なり、いろいろなメディアに形にして発信いただけて、それをお客様が受け取って、劇場に足を運んでくださるという素晴らしい瞬間を、人間だからできるんだなとコロナ禍になって改めて思いました。私は見てくださった方は、必ず笑顔にする、幸せにする、と思って頑張ります(笑)。

生駒里奈&池田純矢