ハードウェア・スタートアップ特化型投資ファンドを運営する株式会社Monozukuri Ventures(本社:京都市及び米国ニューヨーク市、CEO:牧野成将、以下「MZV」)は、市場動向やスタートアップを紹介するオンラインイベント「Monozukuri Ventures Virtual Demo Day」の第4回を2021年7月16日に開催しました。


Monozukuri Ventures Virtual Demo Dayとは
テーマごとに業界動向やスタートアップの紹介、情報交換の場をご提供する当社主催の無料オンラインイベントです。多くの日系企業が出資を検討する、調達額10億円以上の企業ではなく、調達額が1億~5億円程度の企業の技術やサービスにいち早く触れられます。

第4回ではEngineering Techと題し、製造技術や材料技術に関する米国内の動向や、今後の活躍が見込まれる米国のスタートアップのピッチ(日本語字幕付き)が行われました。

コロナ禍以降の米国のスタートアップ事情
イベント冒頭では弊社最高投資責任者(CIO)で、MZVの米国ニューヨーク拠点でスタートアップ投資を担当する関信浩からコロナ禍以降のスタートアップ投資の動向や、Engineering Techに関連するスタートアップの動向についてご紹介しました。
米国はコロナ禍で依然として厳しい状況にも関わらず、ベンチャー投資は堅調で、2020年度は過去最高レベルに達しています。
2021年に入り米国内でワクチン接種が進むにつれて、国内景気は回復し始めます。それに伴ってベンチャー投資は更に加速、一時期は停滞していたプリシードシード期のスタートアップの資金調達もコロナ禍以前の水準に回復しています。

一方で、急激な需要の回復による人手不足や、部品不足といった問題に直面しています。加えて長期化する米中摩擦によって、中国にも頼れない状況です。しかし、米国ではモノづくりを支えるスタートアップが常に誕生しており、大学発の技術をベースにしたスタートアップは毎年1000社以上設立※されています。今回ご紹介するEngineering Tech系のスタートアップ3社は、いずれもカーネギーメロン大学で研究されていた技術の商用化を目指すスタートアップです。

カーネギーメロン大学のあるペンシルバニア州ピッツバーグは、鉄鋼業をベースに工業地帯として発展した地域です。近年は製造業がグローバル化し、製造拠点が海外にシフトしましたが、地域の主要大学であるカーネギーメロン大学とピッツバーグ大学中心としたイノベーション・エコシステムによって、企業との共同研究・開発からスタートアップとしてスピンアウトする傾向にあります。
シリコンバレーニューヨークなどと比較すると、ピッツバーグはAIやロボット、医療関連のスタートアップや研究者、学生が集まる都市という特徴があります。

※出所:The Association of University Technology Managers
https://autm.net/surveys-and-tools/tech-transfer-infographic

MZVが注目するEngineering Tech系スタートアップ

■ESTAT Actuation

ESTAT Actuationは、2019年に設立されたカーネギーメロン大学発のスタートアップです。静電付着力を利用し、従来の移動ロボット用のクラッチと比較して3倍軽く、600倍消費電力が少ない低価格なクラッチを開発しています。
ロボットに使われる既存のアクチュエーターは、応答速度に対して重量とコストがトレードオフの関係にあります。ESTAT Actuationは、複合フィルム間の静電気力を用いたクラッチで軽量・高速応答・低コストを実現します。同社は既に次世代の高性能ロボットに関心のある複数の企業と取引実績があります。今後はロボットの導入が進む医療分野や倉庫の自動化分野、輸送・製造機械分野に参入する予定です。

■Arieca

Ariecaは、2018年に設立されたカーネギーメロン大学発のスタートアップです。大学で開発した液体金属をベースに、高い熱伝導率や引裂強度、耐熱性を両立した熱伝導材料「TIMbber」を開発しています。
演算能力の低下を招く半導体機器の発熱は喫緊の課題となっています。しかし、放熱素材の選択肢は限られており、高性能な材料は大量生産に向いていません。AriecaのTIMbberは大量生産可能で、既存の設備でシリコンダイに塗布できます。

AriecaはTIMbberを半導体製造の後工程を請け負うOSAT(Outsourced Semiconductor Assembly and Test)への販売を予定しており、現在は生産に向けて企業と提携し、素材の性能試験・製品の性能試験の二段階で進めています。今後はサプライチェーンの検討に入り、2025年までに2.5億台のデバイスに供給することを目指します。

■Phlux
Phluxは、2021年にカーネギーメロン大学からスピンアウトしたスタートアップです。カーネギーメロン大学で開発して取得した特許をベースに、15倍の解像度と10倍以上の低コスト、10倍の測定距離を有する次世代3Dセンサーを提供します。
現在普及しているLiDARセンサーは高価格にもかかわらず、十分な解像度を有していません。その結果、複雑なアルゴリズムによるデータ処理に依存し、エラーの可能性を高める一因となっています。Phluxの次世代3Dセンサーは低コスト・高解像度を実現し、複雑なアルゴリズムに依存しません。

Phluxの最初のプロダクトは、3次元平面を通る物体を小さな処理能力で検知するプログラマブル3Dライトカーテンです。このプロダクトを用いて、産業用ロボットの周囲に仮想的な柵を作ることで、工場内での人間とロボットの共存を促進します。更には、配達ロボット、建設機械、自律運転車などにも応用していく予定です。

今後の開催予定について
MZVではハードウェア特化型のVCから見た、さまざまな業界動向や有望なスタートアップをご紹介しています。
次回以降予定しているテーマは以下の通りです。
ご興味のある方は下記URLからご登録下さい。

https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSevHBTBGxIXF3oNr7mrcILt3AG-TRRNCTgxVa7_QwHos917Hg/viewform

過去に開催したVirtual Demo Dayのアーカイヴ動画一覧
https://monozukuri.vc/ja/contents/?group0=gr1_virtual-demo-day

配信元企業:株式会社Monozukuri Ventures

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