全国にある神社の数は8万社以上で、コンビニの数より多いといわれています。そんな身近な存在でありながら、意外と神社については知らないことが多いのではないでしょうか?そこで、『日本人が知らない神社の秘密』(火田博文・著/彩図社)から、お参りがもっと楽しくなる神社にまつわるお話を抜粋して紹介します。今回は日本最古の神社について。

日本最古の神社は奈良の大神神社


現存している日本で最も古い神社は、奈良県桜井市にある大神神社だ。本殿は持たない。鳥居と、拝殿だけで構成されている。拝殿の奥にある三ツ鳥居から仰ぎ見る聖山、三輪山そのものがご神体であり、信仰の対象なのだ。いまでも原始神道の祈りのスタイルを受け継いでいる、日本でも珍しい神社なのである。正確な創建年は不明だが『古事記』『日本書紀』には記述が残されている。いわく、大国主大神が、日本の国づくりを成就させるため、三輪山に大物主神を祀ったことがはじまりなのだという。神話の時代から続く神社なのだ。

三輪山は標高467メートルと小ぶりだが、美しい円錐形をしており、古代から神の宿る山として崇められてきた。また山中には無数の巨石が点在していて、磐座信仰ともつながり、神なる山として信仰されるようになっていった。祭祀の跡と思われる遺跡も多数出土している。
一般人の入山が許可されたのは明治以降


聖地として長い歴史を重ねてきた三輪山は、かつては特別な許可を受けた神職しか入れなかった。一般人の入山が許可されたのは明治以降だ。現在では誰でも訪れることができるが、撮影は一切禁止、水分補給以外の飲食も禁止、さらに山にあるすべての生命に神が宿るという観念から、草一本ですら採取を禁止されている。事前の受付も必要だ。単なる登山やハイキングとは違うのだ。

なお建築物として最も古い神社は、京都府宇治市にある宇治上神社だ。本殿は平安時代後期に築造されたという。

【出典】
『日本人が知らない神社の秘密』(火田博文・著/彩図社)

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奈良県桜井市大神神社鳥居