コロナ禍にブームになったスイーツといえば、ずばり「マリトッツォ」ではないでしょうか。ご存知、イタリア発祥の菓子で、ブリオッシュのような軽いパンに生クリームをたっぷり挟んだものが伝統的なタイプだそうです。

 とはいえ、作り手によってオレンジピールやドライフルーツなどを入れたり、パンのタイプも異なるようですが、日本では丸いパンにたっぷりのクリームが入っているのが一般的。

 そんな旋風を巻き起こしているマリトッツォ、最近では洋菓子店やパン屋さんだけでなく、コンビニやカルディ、成城石井などでもオリジナルのものが買えるようになりました。でも、一体どれが一番美味しいか、気になりますよね? そこで今回は、ファミリーマートセブンイレブンローソンという3大コンビニ、さらにカルディ、成城石井のマリトッツォを食べ比べてみることにしました。

店ごとに個性豊かすぎる「マリトッツォ」をパクリ

 購入してきた各店の「マリトッツォ」を、まず数字的な面から一覧表にしてみました。

 商品名を見るだけで、それぞれの店の「マリトッツォ」がまったく違うものだとわかると思います。“風”とついていたり、ベリー系、チョコレート系、はたまた“どらやきタイプ”なども。

 値段も198~439円と幅がありますが、一番高い成城石井の「苺ジャムマリトッツォ」は2個入りなので、1個あたり200円台といったところです。また、カロリーは重さにほぼ比例しているようです。ではさっそく食べ比べてみます。

コンビニの「マリトッツォ」はどれが一番美味しい?

ファミマの「クリームシフォンマリトッツォ風」198円

 最初はファミリーマートの「クリームシフォンマリトッツォ風」(198円)です。この商品が、他のものと大きくのは、“風”とついているだけあって、本来のパン生地ではなく、シフォンケーキ生地を使用している点。

ファミリーマートの「クリームシフォンマリトッツォ」を半分にカット
ファミリーマートの「クリームシフォンマリトッツォ」を半分にカット

 食べてみると、生地はオレンジ風味で、食感はしっとりソフトで口溶けよく、とても甘い。そこに甘さ控えめのクリームが詰まっており、全体的なバランスがいいんです。ただ、マリトッツォを期待して食べると、「むむむ…」となってしまいました。“風”なので仕方ありませんが、やはりシフォンケーキ感が強いです。

セブンの「ストロベリー&ラズベリーソース仕立てのマリトッツォ」

セブンイレブンの「ストロベリー&ラズベリーソース仕立てのマリトッツォ」248円
セブンイレブンの「ストロベリー&ラズベリーソース仕立てのマリトッツォ」248円

 続いてセブンイレブンの「ストロベリー&ラズベリーソース仕立てのマリトッツォ」です。

 これは、軽めのパン生地の間にクリームが入り、下にいちごとラズベリーのWベリーソースが入っている、まさしくイメージどおりのマリトッツォ。実際に食べてみても、ふわっとやわらかいパンの食感、なめらかで酸味のあるクリームベリーがアクセント。これはなかなか期待どおりの味わいです。

セブンの「どらやきマリトッツォ」224円
セブンの「どらやきマリトッツォ」224円

 さてセブンイレブンでは、もう1つ「どらやきマリトッツォ」というのもあります。その名の通り、どらやき生地にクリームと粒あんが入った商品。

 食べてみると、これは“生どらやき”です。明らかに “マリトッツォ”ではありませんが、一般的な生どらやき“はクリームの量が少ないことが多いので、「クリームがたっぷり入った生どらやき」と思って食べるといいかもしれません。ただし、ファミリーマートの「クリームシフォンマリトッツォ風」と同様、王道のマリトッツォ感はありません。

ローソンの「澄ふわマリトッツォ」

ローソンの「澄(すみ)ふわマリトッツォ」260円
ローソンの「澄(すみ)ふわマリトッツォ」260円

 さて、コンビニの最後はローソン。「澄(すみ)ふわマリトッツォ」です。これは国産小麦の小麦粉をブレンドしたブリオッシュ生地に、北海道産生クリームやマスカルポーネを加えたクリームを挟んでいて、下に敷かれたヘーゼルナッツチョコがアクセント。

 食べてみると、ブリオッシュ生地のパンはほろほろっとした食感。生クリーム&マスカルポーネが入ったクリームバニラシードも入っていて香りも◎。軽くて甘さも控えめ。そこになめらかなヘーゼルナッツチョコレートのナッツ感も顔を覗かせ、香りと甘さのバランスが絶妙です。オレンジピールやベリー系の味のマリトッツォが多い中、チョコ味というのも高評価です。

カルディや成城石井でも人気のマリトッツォ

カルディの「マリトッツォ~オレンジピール入り」270円
カルディの「マリトッツォ~オレンジピール入り」270円

 続いては、カルディの「マリトッツォ~オレンジピール入り」です。この商品は、カルディの冷凍コーナーで売っています。購入したときはカチンコチンに凍っているので、自然解凍して食べてみました。

「マリトッツォ~オレンジピール入り」を解凍してカット
マリトッツォ~オレンジピール入り」を解凍してカット

 まずパンですが、ハンバーガーのバンズのように大きく、軽い食感です。しかし口の中の水分が持っていかれるようなパサパサ感があります。中のクリームは、ミルクのコクとオレンジピールの爽やかな風味でしっとりまろやかで美味しいのに、いかんせんパンの乾燥感が強く、コーヒーや紅茶などの飲み物が必須。これは、マリトッツォ云々の前に、スイーツとしてのバランスに疑問符がつきました。

成城石井の「いちごジャムマリトッツォ」

成城石井の「いちごジャムマリトッツォ(あまおう苺使用)」439円(2個セット)
成城石井の「いちごジャムマリトッツォ(あまおう苺使用)」439円(2個セット)

 最後は成城石井の「いちごジャムマリトッツォ(あまおう苺使用)」。こちらは2個セット。1個ずつが小ぶりのサイズです。

 パンは、表面はパリッと、内側はソフト。中のなめらかな生クリームに馴染む食感です。そしてクリームはオレンジ風味で、下にあるいちごジャムの酸味・甘みがアクセント。オレンジ&いちごのWの爽やかな甘酸っぱさが生クリームのコクを引き立てていて、とてもリッチな味わいです。パンの表面がしっかり硬めに焼かれているので持ちやすく、たっぷりのクリームもこぼさずに食べられました。全体の構成としてもかなり高評価です。

一番美味しかったマリトッツォはどれ?

左がセブンイレブンの「ストロベリー&ラズベリーソース仕立てのマリトッツォ」、右が成城石井の「いちごジャムマリトッツォ」
左がセブンイレブンの「ストロベリー&ラズベリーソース仕立てのマリトッツォ」、右が成城石井の「いちごジャムマリトッツォ

 さて、3つのコンビニとカルディ、成城石井の5つのマリトッツォを食べ比べてみたわけですが、個人的な好みは、セブンイレブンの「ストロベリー&ラズベリーソース仕立てのマリトッツォ」と成城石井の「いちごジャムマリトッツォ」。ちなみにローソンの「澄(すみ)ふわマリトッツォ」も美味しかったのですが、チョコよりもベリー系が好きというだけの好みで選びました。

 そして、セブンイレブンと成城石井の2つのマリトッツォは、実は似ています。パン生地がしっとりしつつ軽いこと。クリームがなめらかでふわふわしていること。さらにクリーム自体にまろやかなコクを感じること。ベリー系の甘酸っぱさがアクセントに効いていること、などです。

 ただ、よく噛みしめると、成城石井のマリトッツォに軍配が挙がります。セブンのよりもパン生地のキメが細かく、あまおう苺ジャムのリッチな風味。2個入りでもぺろりと食べられるほど、美味しいんです。

 というわけで、興味がある方は、ぜひ食べ比べてみてください。

(撮影・文◎土原亜子)

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