トルコで家族や親戚といった血縁関係のない人物から多額の遺産を相続することになった男性がいた。まるでドラマのような話だが、遺産を残した人物は男性が勤務するホテルに毎年滞在して信頼を深めていったという。『The Sun』『The Mirror』などが伝えている。

トルコ共和国イドゥンにある「コリマー・ホテル・デラックス」でベルボーイとして働くタスキン・ダスダンさん(Taskin Dasdan、41)が、今年に入って突然多額の遺産を相続することとなった。タスキンさんに遺産を残したのは、英イースト・サセックスのヘイスティングスに住んでいた故チャールズ・コートニーさん(Charles Courtney)だった。

タスキンさんとチャールズさんは、ホテルのベルボーイとその宿泊客という関係でしかなかった。タスキンさんは1990年から同ホテルのベルボーイとして31年間ほど勤務しており、チャールズさんにおいては生前40年もの間、同ホテルに通い続けていたそうだ。

元醸造所の研究員だったチャールズさんは毎年、休暇になると妻や友人を伴って同ホテルに滞在していた。タスキンさんによると、チャールズさんはいつも同じ401号室に宿泊し、ホテルの従業員の間では「チャーリーズ・ルーム」として知られていたという。

チャールズさんは同ホテルをこよなく愛し、2009年に58年間連れ添った妻のミリアムさん(Miriam)が亡くなった後も毎年友人たちとホテルを訪れていた。タスキンさんはそんなチャールズさんを心から歓迎し、ホテル滞在中も他の客と同様に家族の一員のように寛ぐことができるように接していた。

タスキンさんは「うちのホテルでは全てのお客様に平等に接し、観光客としてではなく家族としてもてなしています」と明かしている。またトルコのメディア『Turizm Ajansı』によると、チャールズさんはホテルに到着するとすぐにタスキンさんにスーツケースとお金を預け、ホテル滞在中は現金が必要な時にその都度タスキンさんからお金を受け取っていたそうだ。

そんなタスキンさんに全幅の信頼を置いていたチャールズさんは、過去にはタスキンさんの息子の学費を支援したこともあったという。そして2014年7月14日チャールズさんは87歳で生涯を閉じたとトルコメディア『Hürriyet Daily News』が伝えた。

チャールズさん亡き後は遺産の整理に数年かかり、今年に入ってイギリスの検認当局からタスキンさん宛てにホテルへ連絡があったそうだ。その時、タスキンさんは初めてチャールズさんが亡くなったことを知ったという。彼は「チャールズさんは私たちにとってお客様というよりも友人のような存在でした。亡くなったとの悲しい知らせを受けて、胸が締め付けられるような思いです」と吐露した。

またチャールズさんは、タスキンさん以外にも他の何人かの従業員に幾ばくかの遺産を残していたそうだ。タスキンさんがチャールズさんから受け取る遺産の金額は公にされていないものの、『Hürriyet Daily News』によると約20万ポンド(約3040万円)という。

ちなみに世界指標のデータを公開しているウェブサイト『CEIC Data』では、2019年のトルコの平均年収は約3073ドル(約33万7000円)と公表している。そんな平均年収を遥かに凌ぐほどの金額だったにもかかわらず、タスキンさんは「仕事をしなくてもいいのかもしれませんが、私は人との出会いが好きなんです。信じられないほど感謝していますが、このまま仕事を続けたいと思います」と語っている。

画像は『The Sun 2021年8月31日付「HOL OF A TIP Brit widower, 86, leaves £20k to Turkish bellboy, 41, in will after visiting resort for 40 years」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 MasumiMaher)

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