JR東日本が、山手線で行っている「省エネ運転の研究」について発表。所要時間は変わらないそうですが、どう実現するのでしょうか。山手線以外にも「省エネ運転」、広がっていきそうです。

最高速度を下げて走行 でも所要時間は同じ

JR東日本が2021年9月7日(火)、「山手線における省エネ運転の研究」について発表しました。

2015年にデビューした現在の電車(E235系)は、従来の電車に比べ省エネ性能に優れていますが、くわえて乗務員が「省エネ運転」することにより、さらなる消費エネルギーの削減を目指しているとのこと。

かんたんに言うと電車は通常、最高速度(目標速度)まで加速したのち、自動車的に表現するとアクセルをオフにして、しばらく惰性で走行。駅が近づいたらブレーキをかけて停車する、という流れで走ります。

山手線の「省エネ運転」は、最高速度を抑え、惰性で走る時間を長くするものの、減速時間を短くすることにより、所要時間を変えることなく運転エネルギーを削減する、というものです。

山手線以外でも「省エネ運転」の時代へ?

山手線の「省エネ運転」、その具体的な運転の仕方は、現在のE235系電車が備える車両モニタリング機能を活用し、走行中のデータを取得。それを分析して、「省エネ効果や乗務員による再現のしやすさなどを考慮した加減速のタイミング」を決定するといいます。

試しにこの「省エネ運転」を山手線で行った結果、約10%の運転エネルギー削減効果が確認できたとのこと。山手線1年分に換算すると、約500万kWh(CO2 約1400トン)の運転エネルギー削減になるそうです。

JR東日本が消費しているエネルギーの約8割が、列車の運転エネルギー。今後、JR東日本は乗務員が省エネ運転に取り組みやすい環境を構築し、山手線以外でも省エネ運転の取り組み展開、また将来の自動運転にその知見を生かすことで、「脱炭素社会」の実現に貢献するとしています。

山手線のE235系電車(画像:写真AC)。