映画『ちょっと思い出しただけ』が2022年早春に公開を予定していることがわかった。

『ちょっと思い出しただけ』は、『バイプレイヤーズ〜もしも100人の名脇役が映画をつくったら〜』や『くれなずめ』などで知られる松居大悟監督の最新作。池松壮亮伊藤沙莉をW主演に迎えたラブストーリーだ。怪我でダンサーの道を諦めた照生(池松)と、タクシードライバーの葉(伊藤)の二人を中心に、登場人物たちとの会話を通じて“年に一度訪れるある1日”を描きだすという。

(C)2022『ちょっと思い出しただけ』製作委員会

(C)2022『ちょっと思い出しただけ』製作委員会

本作は、ジム・ジャームッシュ監督の同名映画に着想を得たクリープハイプの新曲「ナイトオンザプラネット」を受け、松居大悟監督が初となる完全オリジナルラブストーリーとして書き上げた作品とのこと。主題歌も、クリープハイプの「ナイトオンザプラネット」に決まっている。

(C)2022『ちょっと思い出しただけ』製作委員会

(C)2022『ちょっと思い出しただけ』製作委員会

松井監督、池松、伊藤のコメントは以下の通り。

 

松居大悟(監督)

誰にも見つからないように、誰にも気づかれないように、離れてしまった手と手を無理やり引き合わせて、それを運命だとか必然だとか、都合のいい単語で括って知らないふりをしてる。単に時間が経っただけなのに、時間が関係性を引き離すなんて思い込んでるのは自分のエゴで。構ってほしかっただけなのかもなぁ。前より思い出す機会が増えたのは、年齢なのか、時代なのか、思い出そのものが大きすぎるのか。

オリジナルで、初めてのラブストーリーです。尾崎くんがきっとバンド人生を賭けて紡いだ曲を聴きながら、コロナ禍でうんうん悩んだ物語は、小さくて眩しいあの日を思い出す映画になりそうです。盟友の池松君と、鮮やかな伊藤沙莉さんと、素敵な役者スタッフたちと作りました。

きっと花束みたいとか色々言われるんだろうな。言われるよもう。言われる前に言うよ。でも当たってるしなぁ。そんな迷いにこの先何度も包まれる気がするけど、それ以上に、かけがえのない優しい想いに包まれる人に届いたらいいなと思います。

愛がすべてなんかじゃないけど、愛がすべてで。愛ってなんだよ。愛がなんだだよ。また別の映画のタイトルを言ってしまった。『ちょっと思い出しただけ』です、俺はまだ本気出してないだけ、みたいとか言うなよ。俺は本気出したよ。マスクの向こうでニコニコさせられますように。

楽しみにしてくれたら嬉しいです。

 

池松壮亮

決定的に戻れないあの頃、コロナ以前からの6年間を描いたラブストーリーです。あの頃を成仏する映画や、あの頃を慈しむ映画は時代の変わり目には沢山作られるものですが、今と過去を同時にすくいとろうというこの作品の心意気にとても共感しました。

思い出せないことと、忘れられないこととが、人生そのものをかたどっているように思います。過去にしがみつくではなく、過去を無かったことにするではなく、全ての地続きに今があると信じています。あらゆる人の人生の過去が、その人の人生にあったことを感謝出来ますように。過去と今が、無かったことになりませんように。昔の気持ちを思い出して、色々あったけど今はもう大丈夫。でも、ちょっと思い出しただけ。そんな私たち自身についての映画になってくれることを願っています。

 

伊藤沙莉

松居大悟×池松壮亮×クリープハイプという私にとってかなり熱いゴールデンタッグの作品に携われることが決まってからインまで、はやる気持ちでいっぱいでした。

綺麗事を言うつもりなんてさらさらないし、ポジティブ、ネガティブな出来事を全て肯定するべきなんて全く思いませんが、私は確かに過去に存在したそれがあっての今なんじゃないかな、と常々思っています。

そういう過ぎた思い出や記憶を、ちょっと思い出しただけな時間もまた、悪くない一瞬だと思います。

ああ、あったなこんな時。とか

ああ、あの人元気かな。とか

そんな悪くない一瞬を、2人の時間を通してふと感じていただけたらいいなぁと思います。

そしてやはり音楽の力ってすごいと思います。

私は音楽に常に支えられていますし、それがあるだけでそのシーンや作品の深みが増したり彩が増します。

そんな音楽の力も感じていただけるといいなと思います。

 

『ちょっと思い出しただけ』は2022年早春公開。