海には、一般的によく知られていない生物が数多く生息している。このほど、イタリアの沖合で奇妙な形の魚が引き上げられ、船員らを困惑させた。
それは、丸い胴体に平らな頭と豚のような皮膚と鼻を持つ魚で、まるでサメと豚のハイブリッドかと思うような外観だったのだ。
今から3週間ほど前、イタリア・エルバ島ポルトフェッラィオの海から、海軍士官ら船員が奇妙な魚を引き上げた。
サメのような背びれを持つその魚は、全体が茶色く丸みを帯びており豚のような皮膚感で、更に鼻も豚のように広がっている。
サメと豚のハイブリッドか!?突然変異か!?と困惑した船員らが、調査のために港湾事務所にこの魚を運び込んだところ、オロシザメ科のサメであることが判明した。
絶滅危惧種のオロシザメ科、アンギュラーラフシャーク
この魚の写真がSNSでシェアされると大きな注目を集め、その魚の正体を多くのユーザーが知りたがった。
結局、この魚は地中海や南アフリカ、ノルウェーなどの東大西洋に生息するオロシザメ科のアンギュラーラフシャーク(Angular roughshark)だったようだ。
現在、IUCNのレッドリストで絶滅危惧種に指定されているというアンギュラーラフシャークは、水面下700メートルに生息しているとされており、一般的にはその姿を見ることは稀だが、地中海では目撃されることがあるという。
エルバ水族館は、この魚について地元メディアで次のように話している。
トスカーナ群島の海は、生物多様性に富んでいます。地元の漁師から漁網に引っかかったこの魚についての報告をよく受けるので、ここではそう珍しいことではありません。
過去に、同水族館で飼育を試みたことがあるのですが、飼育下に適応しない種であることがわかり、諦めました。
水から引き上げられると、唸り声のような音を出すので「豚魚」と呼ばれています。
今回、海軍の船員らが引き上げたアンギュラーラフシャークは、調査の後で海に戻されたそうだ。
ちなみに、この魚の近縁種としてオーストラリアとニュージーランド温帯域に生息するミナミオロシザメがいるが、こちらは絶滅危惧種には指定されていない。
written by Scarlet / edited by parumo
・合わせて読みたい→これもサメ、あれもサメ、奥深きサメの世界。奇天烈25種のサメ図鑑
追記:(2021/09/12)本文を訂正して再送します。
コメント