二階堂ふみが主演を務める火曜ドラマ「プロミス・シンデレラ」(毎週火曜夜10:00-10:57、TBS系)。最終回となる第10話が9月14日に放送され、Twitterのトレンド1位を獲得する反響に。その盛り上がりは、主演の二階堂や、彼女に恋する壱成を演じた眞栄田郷敦だけでなく、2人を支えたバイプレーヤーたちの力によるところも大きかった。(以下、ネタバレがあります)

【写真を見る】ヒールな役どころを見事に演じた松井玲奈

■繊細な役どころを完遂した岩田剛典

本ドラマの原作は、漫画アプリ「マンガワン」(小学館)に連載中の同名漫画。人生崖っぷちアラサーバツイチ女子・早梅(二階堂)が、高級老舗旅館の御曹司でイケメンだが性格のすこぶる悪い男子高校生・壱成(眞栄田)に目をつけられ、金と人生を賭けた“リアル人生ゲーム”を繰り広げていくラブコメディー。

最終話は、早梅と壱成が10歳の年の差を超えて思いが通じ合い、ハッピーエンドに。壱成がプロポーズすれば、早梅は不意打ちキスで返答するなどして盛り上がり、Twitterのトレンド1位を獲得したほか、平均世帯視聴率も9.6%(関東地区、ビデオリサーチ調べ)と番組最高記録を更新した。

曲がったことが大嫌いで、第1話では性格の悪い壱成にビンタする場面もあった早梅。二階堂が、早梅の優しさや強さ、また実は臆病になっていたりもしたところを体現し、「早梅がふみちゃんで本当に良かった」という感想が上がった。一方、第1話ではあまりの性格の悪さに視聴者をイライラさせた壱成。だが回を追うごとに早梅のおかげでイイ男に成長し、演じる眞栄田の魅力にハマる視聴者が続出。「郷敦沼」という言葉まで生まれた。

そんな本作は、2人の恋模様を盛り上げたキャラクターたちも素晴らしかった。演じる俳優陣がぴったりとそれぞれの役どころに当てはまっていた。

壱成の兄・成吾に扮(ふん)したのは岩田剛典。家業の旅館を継ぎ、副社長を務めていたところで、初恋同士だった早梅と10年ぶりに再会。忘れられなかった恋心が再燃し、壱成と火花を散らした。

そんななかで、昔から容姿端麗、成績優秀で注目されていたものの、実は天才肌の弟にコンプレックスがあったこと、早梅に10年来の思いが届かないという、繊細な心の揺れを表した。最終話で失恋から酔いつぶれてしまった姿は切なかったが、壱成へのわだかまりを解いて恋を応援する姿に、「続編では幸せに」との声がいくつも寄せられたのは、岩田の表現が良かったからに違いない。

松井玲奈、金子ノブアキ、三田佳子らがしっかりと物語を支える

ヒール役で物語を盛り上げたのは、菊乃役の松井玲奈だ。菊乃は人気芸者だが、それは整形したあとの顔。成吾の高校時代の同級生で、自分でも嫌だったという醜い容姿からいじめられていたが、成吾の存在が救いに。また、そのときに1度だけ会った早梅の強さへの憧れが、成吾への恋心も絡んでいつしか憎しみとなっていた。

大の男をスタンガンで気絶させる衝撃の役どころだったが、最終話では早梅との取っ組み合いのけんかが。二階堂と本気でぶつかっている様子が圧巻だった。その後、早梅に「あなたはあなたよ」と説かれ、成吾にも「君は俺をずっと支えてくれた。早梅の代わりではなく、君自身がだ」と言われ、かつて壱成に「ヘビみてーだよな」と言われた鳴りは潜めた。この騒動後、誘惑して離婚の原因となった早梅の元夫・正弘(井之脇海)が菊乃にそっと寄り添う場面が描かれ、前に歩き出した様子にホッとした。

早梅や壱成の恋模様を要所要所でナイスアシストしたのが、金子ノブアキ演じる洸也。旅館で茶房のマスターをしている洸也は、女の子が大好きで、明るくお調子者。その明るさが早梅と壱成の恋の後押しになり、大人の男として頼れるところが失恋した成吾の救いになった。金子が醸し出す大人の男の色気は、壱成派、成吾派に揺れていた視聴者のなかに洸也派も生んだ。

ほか、壱成や成吾の祖母で、旅館の大女将の悦子を演じた三田佳子も場面を引き締める存在感で、おしゃれな着物もさすがの着こなしだった。壱成にこき使われる執事の吉寅役の高橋克実、同じ仲居として早梅のことを気にかけたまひろ役の松村沙友理も、それぞれチャーミングだった。

SNSには「キャストを替えずにお願いします」などと、キャスト全員で作り上げた世界観での続編希望の声が相次いでいる。

「プロミス・シンデレラ」最終話は、TVerとTBS FREEにて期間限定で無料配信中。また、Paraviでは全話の配信と、松村主演のオリジナルストーリー「シンデレラ・コンプレックス」を配信している。

(文=ザテレビジョンドラマ部)

旅館の“若旦那”として和服姿が決まっていた岩田剛典/(C)TBS