北朝鮮が9日に行った閲兵式(軍事パレード)に対し、同国の庶民が強く反発していると、米政府系のラジオフリーアジアRFA)が伝えている。中には金正恩総書記の外見が変わったことについての批判もあるという。

北朝鮮国営の朝鮮中央通信は9日、建国73周年を祝う「民間および安全武力閲兵式が、平壌の金日成広場で盛大に執り行われた」と報じた。

新型コロナウイルス対策で厳しい防疫措置を敷く中、敢えて閲兵式を行ったのは、経済制裁とコロナ禍、自然災害の三重苦で経済難が深刻化する中、国民に団結を訴える目的からと思われる。

しかしその目的に反し、庶民からは批判の声が出ているという。

平安南道(ピョンアンナムド)のある住民はRFAに対し、「1年にもならない期間に閲兵式が3回も行われる国民の気持ちがどのようであるか、指導者はまったくわかっていないようだ」としながら、「一部の国民は『国家が危機に瀕した民生から目を背け、政治ごっこに血道を上げている』として、今回の行事を強く批判している」と語ったという。

この住民の語るとおり、北朝鮮は昨年10月朝鮮労働党創立75周年と今年1月の党第8回大会に際しても大規模な閲兵式を行った。

平安北道(ピャンアンブクト)の住民も同様の思いを述べながら、「昨年10月の閲兵式では、大勢の兵士が6カ月間も過酷な練習をさせられた。たった1日の行事のために、食事もろくにとれていない兵士たちが、唇がボロボロに割れるほどに苦労させられたことを知っている国民が、どうして閲兵式に肯定的な感情を抱けようか」と強調したという。

この住民はまた、「このように、多くの人々の苦痛の上に成り立った閲兵式で、最高尊厳(金正恩氏)が見せたのは祖父を真似たヘアスタイルと服装、歩き方だけだった。国民は、実質的な変化もなく、外見だけ変わっても何の意味もない。どういうつもりなんだと怒り心頭だ」と続けた。

さらに、「朝鮮は今、コロナ禍を口実にした国境封鎖のため、飢え死にする人々が続出する危機的状況にある。そんな中で閲兵式を眺める国民は、最高尊厳が自らの政治的打算にだけ没頭し、民生は眼中にもないということを確信している」と付け加えた。

北朝鮮の建国73周年を祝う「民間および安全武力閲兵式」(2021年9月9日付朝鮮中央通信)