営業運転を終了する、全車2階建て新幹線E4系「Max」。その名の通りの巨体を誇っていますが、はたしてどれほど大きいのでしょうか。ただ実は「Max」ではなく、別の名前になっていた可能性もあります。

細長い顔×高い背=個性的

2021年10月1日(金)で定期運行を終了する予定の、全車2階建て新幹線E4系「Max」。

新幹線車両は、騒音や振動の元になるトンネル微気圧波を軽減するため、先頭車の鼻が長かったり、複雑な形状をしていたりしますが、E4系は全車2階建てで背が高いため、なかなかに個性的な顔になっています。

E4系のトータルデザインコンセプトは「BIG WAVE(雄大)」。外観デザインのキーワードは「ELASTIC(しなやか)」「WAVE MOTION(躍動、いきいき)」とのこと。なるほど、巨体で豪快でありながら空気の壁をいなして疾走していく、そんな先頭形状に思えてきます。

そんな個性的な姿をつくり出している、E4系の背の高さ。どのくらいかというと、約4.5mもあります。

ホームの高さは1.2mほど。よって、16両編成のE4系「Max」がホームに止まっていたとしたら、高さ約3.3mの壁が、およそ400mにもわたって連なっていることになります。まさに「Max」な、圧巻の光景です。

「Max」じゃなかった可能性

ちなみに、「はやぶさ」などに使われるE5系は、背の高さが約3.7m。E4系「Max」のほうが0.8m、背が高い具合です。

0.8m程度の違いでなぜ2階建て構造にできるのか、と思う人もいるかもしれませんが、E4系「Max」は、通常の車両だと機器類がある床下を、線路ギリギリまで客室にすることで、2階建てにしました。E4系の機器類は、車端部などに分散されています。

高まる新幹線通勤の需要に応えるべく、誕生した全車2階建て新幹線「Max」。時代が変わり、人口減少、テレワークの浸透がいわれるなか、そうした個性的で「Max」な新幹線の姿は、E4系の引退で見納めになるのでしょう。

ちなみに「Max」の愛称は、正式には「Multi Amenity Express」に由来します。

またE4系は、「Max」としては2代目。初代「Max」は、2012年に引退したE1系です。

このE1系は当初、「Max」ではなく「DDS」という愛称でした。「Double Decker Shinkansen」の略です。営業運転開始前に「Max」へ変更されましたが、イメージや言いやすさ、分かりやすさから「Max」に変更して大正解だったと思います。

E4系新幹線「Max」(画像:写真AC)。