「より良い教育水準・教育環境で子どもを育てたい」と思う親は多い。しかし、住んでいる都道府県単位でも教育水準が異なることをご存じだろうか…?そこで、ダイヤモンド編集部では、文部科学省が毎年発表する「全国学力・学習調査」の結果をもとに、「子供の学力が高い都道府県ランキング」を作成し、全国の小中学生の国語・算数(数学)における学力の差に迫った。また、この結果を教育研究者である阿部昇氏に見ていただき、解説してもらった。(解説/秋田大学大学院教育学研究科・特別教授 阿部 昇、構成/ダイヤモンド編集部 加藤桃子

「全国学力・学習状況調査」では、小学6年生と中学3年生が対象となる。教科は小学校では国語と算数、中学校では国語と数学である。毎年行われる調査だが、昨年はコロナ感染の影響で中止となったため2年ぶりの実施となった。

 その結果が先日公表されたが、小中の国語と算数・数学を通じて、石川県秋田県福井県の3県が上位に位置している。これは、前回までの調査結果とほぼ同じだ。その3県の他に今回は、東京都小学校3位、中学校4位と好結果を残している。早速詳細を確認していこう。

石川・秋田・福井が「不動の上位」の理由

 教育研究者である阿部氏は、今回の結果について以下のように述べる。

石川県・秋田県・福井県が
記述式の設問に強いワケ

 石川、秋田、福井の3県は、「記述式」問題の正答率が特に高い。それも、記述式の中でもより難易度の高い設問が、全国をさらに大きく上回っている。たとえば国語だと二つ以上の情報を組み合わせて文章化する設問、算数だと式の意味を図と言葉と数で説明する設問などだ。

 一方、東京は全体の設問を通して、平均を少しずつ上回っている。

 ちなみに、小学校算数で石川、秋田、福井が全国平均を最も大きく上回った記述式の設問は、次の【4】(3)の設問だった。

 これは、数式の意味を言葉や図を使って説明することを求める設問だ。30÷12=0.4という割り算ができても、「なぜ」30mを1としたときに12 mが 0.4になるのかという理由を言葉や図で説明することは難しい。

 全国平均正答率は51.5%だが、石川は63.3%(全国平均より+11.8ポイント、以下カッコ内の数値は全国との差)、秋田と福井は60.5%(+9.0)と全国平均を大きく上回る。東京は正答率51.3%と全国平均を0.2ポイント下回る。

 この設問の前に【ゆうまさんの説明】として、14メートルが20メートルの0.7倍にあたることが図や文で示されている。つまり、その説明の数値を入れ替えさえすれば正答を導き出すことができたのである。それでも平均正答率に差が出たのは、【ゆうまさんの説明】を理解できたかどうかによるものと考えられる。

 この設問は小学校算数の中で一番無回答率が高い。全国平均で10.3%の無回答率となっている。つまり【ゆうまさんの説明】を理解できない子どもや、説明文の数値を入れ替えれば良いということがわからなかった子どもが多いということだ。

 しかし、3県の無回答率は、石川4.7%、秋田4.5%、福井6.6%と全国平均を大きく下回っている。

 トップ県と全国平均との差が出た理由は、普段の授業のあり方や家庭学習の仕方によるものと考えられる。単に式と答えを書くというだけでなく、その数式の意味を論理的に考え、それを自分の言葉でわかりやすく説明することを重視する算数の授業・学習が行われているかどうかが関係している。

 上位の県は特にこのような授業を学校単位で重点的に行っている傾向がある。これは、文部科学省が教育課程の基準として示している学習指導要領で重視している「数学的な見方・考え方」につながるものだ。

 なお、『子どもの学力が高い都道府県ランキング【全47都道府県、2021年完全版】』では47都道府県全ての順位を発表している。さらに、「国際的な学力調査で明らかになった、日本の子どもたちの弱点」や、「どの都道府県に住んでいても家庭内の教育環境を改善できるポイント」についても紹介しているので、ぜひご覧いただきたい。

「令和3年度全国学力・学習状況調査」の結果をもとに、ダイヤモンド社作成