登録車の後部ナンバープレート左上には、アルミキャップのようなものがついています。「封印」といい、ナンバープレートの変更などでは、係員立ち合いのもとで取り付けてもらう法的にも重要なものです。

厳重に管理される「封印」

いわゆる登録車(小型・普通自動車)の後部ナンバープレートには、左上のボルトを隠すように、アルミ製のキャップのようなものが設けられています。もちろん飾りではなく、「封印」と呼ばれる法的な意味を持つもの。これなしで公道を走った場合の罰則もあります。

一般ユーザーがこれを外すのは、住所変更などでナンバープレートそのものを取り替えるときです。一般的には運輸支局などでナンバープレート変更の手続きをする際、その敷地内で行うことになります。

東京都内の運輸支局などへ自分でクルマを持ち込んでナンバープレートを変更する場合、書類の申請ののち、新しい車検証を発行してもらい、古いナンバープレートを取り外して返却、新しいナンバープレートとともに封印の台座部分(封緘)が渡されます(地域により手順は異なる)。

後部ナンバープレート左上のボルトに挟み込むように封緘を取り付けますが、その“蓋”の取り付け、つまり管轄地域の刻印(東京都ならば「東」)が入った封印をするのは、所定の係員です。

封印は、国が委託した封印受託者のみが行えることになっています。必ずしも運輸支局で行うわけではなく、封印受託者がいるディーラーや整備工場などでも行えるほか、行政書士が封印受託者から再委託を受け、クライアントの車庫に赴いて封印の取り付けを行うこともあります。しかしながら、「ご自分で取り付けてください」とは決してなりません。

ここまで厳重に管理される「封印」、どのような意味があるのでしょうか。

軽自動車には封印がないワケ

国土交通省自動車局によると、封印には、その自動車に、国(または国が委託した代行者)によって交付されたナンバープレートが取り付けられた「証」となるものだといいます。また、ナンバーの取り外しや盗難防止といった役割もあるそうです。

封印の際には、クルマ1台1台に刻まれた車台番号との照合も行われます。国のファイルに登録された1台1台の固有番号と、その車両が一致していると国が確認したことを担保するものだといいます。

なお、後部のナンバープレートのみに封印がある理由は、1か所だけ封印しておけば、登録は担保できると判断されているためだそうです。

一方で、軽自動車ナンバープレートには封印はありません。軽自動車には国の登録制度がなく(軽自動車は「届出」制)、国がその人の所有権を公に証明するものではないためだということです。

ちなみに、国による封印の委託制度は2017(平成29)年4月から、その範囲が拡大されました。これは、「地方版図柄入りナンバー」など、特別仕様ナンバープレートの交付によりナンバープレート変更の機会が増えることを見越した対策でした。今後は2020東京オリンピックパラリンピック仕様ナンバーに次ぐ「全国版図柄入りナンバー」の交付も予定されています。

封印(乗りものニュース編集部撮影)。