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 オーストラリアのニューサウスウェールズ州で、30年前に刑務所を脱獄した男がこのほど警察署に出頭し、再逮捕された。

 男は、30年にわたり逃亡を続けていたものの、コロナのロックダウンによって職を失いホームレスになったことで、「屋根のある刑務所に戻りたい」と出頭を決意したという。

【画像】 脱獄して30年間逃亡を続けていた男

 大麻栽培で3年半の実刑判決を受けて服役していた当時35歳のダルコ・デシックが、ニューサウスウェールズ州グラフトンの刑務所で13か月を過ごした後、弓のこぎりボルトカッターと使って脱獄したのは1992年7月31日の夜のことだった。

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pixabay

 旧ユーゴスラビア出身のデシックは、刑期を終えたら国外追放されると推測。当時、内戦のさなかにあったユーゴスラビアに強制送還されることになれば、母国で過去に強制兵役を怠ったことで罰せられると恐れた。

 デシックの脱獄後、警察は当然彼の行方を必死で追ったが、デシックは「ダギー」と名乗り、シドニー郊外で雑用をこなす便利屋としての職を得て、警察の目をかいくぐって目立たないように生きてきた。

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 ある時には、ニューサウスウェールズ州のサウスコーストに位置するナウラにいた時に、デシックを見かけた人物が警察に通報。

 それがきっかけで、デシックのことがテレビの指名手配番組で報じられ、再び追跡に拍車がかかったこともあった。

 しかし、結局デシックは身柄を拘束されることなく過ごし、2008年には入国管理局によってオーストラリアでの居住を許可される身分になったという。

コロナでホームレスになり警察署に出頭

 30年ほどの長い年月、逃亡生活を続けて来たデシックだったが、今年6月にオーストラリアロックダウンになり、便利屋としての仕事を失い、家賃が払えずホームレスになってしまった。

 最近、シドニーのノーザンビーチにあるアバロンの砂浜で寝泊まりを繰り返していたデシックは64歳になっており、「もういい。屋根のある刑務所に戻ろう」と決意。9月12日に、ニューサウスウェールズ州ディーワイの警察署に出頭した。

 脱獄容疑で再逮捕となったデシックは、警察に脱獄に至った理由を説明したが、逃亡の罪により今回保釈は認められていない。

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 デシックの件を知った地元住民のベル・ヒギンズさんが、彼を支援するためにクラウドファンディングサイトでアカウントを開設し、寄付金を呼びかけたところ、4時間で6000豪ドル(約48万円)以上が集まったそうだ。

 なお、デシックは脱獄罪によって、今後7年の懲役刑が科せられる可能性があるということだ。

written by Scarlet / edited by parumo

 
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脱獄から30年、新型コロナの影響でホームレスになった男が「刑務所に戻りたい」と警察に出頭