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 今年9月、イーグル湖でハンターのジョン・ハミルトンが全長4.1メートル、体重340キロもの巨大なミシシッピワニを捕獲した。

 このワニを解体したところ、なんと腹の中から2つの古代遺物が発見された。

 シシッピ州の考古学者たちが調べたところ、これらは古代アメリカ先住民が使っていた可能性の高い、紀元前6000年前の「アトラトル」という飛び道具の先端と、紀元前1700年前の錘らしき謎めいた石であることが判明した。

【画像】 ワニの腹の中から2つの古代遺物

 ミシシッピ、サウスカロライナ、テキサス、フロリダ、ジョージア、アラバマ、アーカンソーの住民は16歳以上なら、ワニ狩猟免許(25ドル)と、ワニ所有許可証(200ドル)を取得することができる。

 ハンターの資格をもつハミルトンは、ミシシッピ州にあるイーグルレイクで全長4.1メートル、体重340キロもの巨大なミシシッピワニを仕留めた。

 ハミルトンは、サウスカロライナで捕獲されたミシシッピワニの腹から犬の認識タグが出てきたという以前の報道を思い出し、自分の獲物の体内にも、何か隠されているのではないかと思った。

 そこで、ワニの腹にナイフを入れたところ、これら先住民の遺物が出てきたというわけだ。

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 環境品質局の表層地質学と表層マッピング部長、ジェームズ・スターンズが、最初に遺物の写真を調べ、先端が尖った錘(おもり)石は紀元前1700年、「アトラトル」は紀元前6000年前のものと特定した。

ワニの腹から見つかった「アトラトル」(上)は紀元前6000年前のもの、黒い錘石(下)は紀元1700年前のものとわかった。

紀元前6000年前の遺物は投槍器の先端部分

 ミシシッピ州には、およそ1万2000年前に始まった先史時代の考古学遺跡が1万9000ヶ所以上あることが知られている。だが、このワニがどこでアメリカ先住民が使っていた遺物を飲み込んだのかははっきりわからない。

 アストラルは小さな槍を投擲する、手持ちの投槍器(投矢器)のことで、中央アメリカ一帯、特にアステカで使用されていた。

 この古代武器は、軸受け面を利用して、てこの原理で槍を放つときの速度をあげることができる。

 今回、ワニの腹から見つかった6000年前の茶色い遺物は、重たい狩猟用の槍につける投槍器の先端部分である可能性が高いという。

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アトラトル」のフォアシャフトと先端の写真とX線写真 / image credit:Research Gate

紀元前1700年の錘石は釣り用か?

 ワニの腹から出てきたもうひとつの遺物、穴の開いた錘石についての使用目的は、正確にはまだわかっていない。

 スターンズは紀元前1700年頃の漁師が釣りの錘として使用していた石ではないかと推測している。2つの穴は、骨鉤(ほねかぎ)を鋭く削るのに便利だったようだ。

 骨で作った釣り針は、水中で長く使っていると、徐々に先端が摩耗してくるが、錘石の穴に突っ込んで素早くこすれば、先端を尖らせることができる。だが、錘石になんらかの意味があることはわかっているとはいえ、これは推測にすぎない。

ミシシッピワニの中から続々と発見される様々な物

 ミシシッピワニの腹から見つかったこれら先住民の遺物は、確かにこれまでで最古の発見物だが、ワニの腹からは、現代のものもたくさん見つかっている。

 今年4月には、サウスカロライナで、全長3.7メートル、202キロのワニの腹から、犬の認識タグが5つ、防弾チョッキ1着、点火プラグ、カメの甲羅、ボブキャットのツメがいくつか出てきたという。

 なぜ、こんなにいろいろ出てくるのか?それを理解するには、ワニの胃の生物学的な仕組みをみてみる必要がある。

 ワニの胃にはふたつの部屋があり、ひとつは力強い筋肉がついていて、もうひとつは消化のための酸を蓄えている。飲み込んだ獲物の骨や貝殻、軟骨、羽毛、角なども消化するために発達したものだ。

 ミシシッピ州野生生物水産公園局の職員によると、硬いものはワニが食べ物を消化するのに役立つのだそうだ。

 動物の消化管の中にある石は胃石と呼ばれる。このたび見つかった8000年前と3700年前の遺物の場合は、人間のための細石器というより、ワニが古代世界の狩猟道具を転用した胃石といえるかもしれない。

References:Two Amazing Ancient Artifacts Found Inside Giant Mississippi Alligator | Ancient Origins / written by konohazuku / edited by parumo

 
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巨大ワニの腹の中から驚くべき2つの古代遺物を発見