末期がんで余命僅かの父のため、25歳だった女性は体外受精で妊娠して今年5月に男児を出産した。父は孫の誕生を誰よりも喜んでその腕に抱きしめ、約4か月弱を共に過ごして亡くなった。60歳だった。切なく温かいニュースを『Metro』『The Mirror』が伝えている。

英ノッティンガム在住のキーラ・パーカーさん(Keira Parker、26)は今年5月、アメリカの精子バンクを利用し、25歳で長男ノア君(Noah)を出産した。

看護師であるキーラさんが体外受精に踏み切ったのは、父ブライアンさん(Brian)が末期の皮膚がんであることを知ったからで「私と父の関係はとても近く、父はいつでも私のロールモデルだった。そんな父が長くはないと知って、亡くなる前にどうしても孫を抱かせたいと思ったの」と胸のうちを明かし、次のように述べた。

「私はずっと若いママになりたかった。友達が出産したことを聞くたびに胸が痛んだわ。」

「でも私がこれまで付き合った男性とは良い関係が続いたことがなくて。相手に浮気されたり、長くても4か月しかもたなかった。私が最後にデートしたのは7年前で、コロナ禍では私にぴったりの人を見つけることは不可能だと思ったの。だって時間がないものね。」

「それでアメリカの精子バンクを使って子供を産む決意をしたの。イギリスよりも選択肢が広いし、父親となる男性の写真を見ることができるから、子供が成長した時に『この人が父親よ』と伝えられるでしょう。」

「体外受精にかかったのは約75万円(5000ポンド)だけだったし、最初のトライで6週間後には妊娠していたの。30歳になるまで待つより、妊娠する確率が高いということを証明したとも言えるわ。今思えばこれは、私の人生の中で最高の決断だったの。父のためにもね。」

そう語るキーラさんだが、友人や家族は体外受精に反対していたそうで、当時のことをこのように振り返った。

「家族に体外受精について話をした時は理解してもらえなくてね。結局両親に妊娠していることを打ち明けたのは、11週目に入ってからだった。私のことを全く知らない人には『きっと一夜限りの関係でできちゃった子でしょう』と言われたし、同年代の子には特に『精子を選んでデザイナーベビーを作ったんだろう』などと陰口を叩かれたわ。」

それでもキーラさんは「父は超音波検査の時は私と一緒に病院に来てくれて、本当に嬉しそうだった。妊娠中はずっと私のそばに寄り添ってくれて…。私はそんな父のために出産を1週間早めたの。父がより多くの時間を息子と過ごせるようにね」と語り、「シングルマザーになる決断をしたことを全く後悔していない」と明かした。

実はブライアンさんはずっと息子を欲しがっていたそうで、キーラさんは「父には2人の娘しかいなかったから、これは運命だったと思っているの。6年間もがんと闘ってきた父は8月に亡くなってしまったけど、ノアとは15週間を過ごすことができたのよ」と切ない気持ちを明かし、こう続けた。

「父の死後は本当につらかった。でもノアの存在は私に光をもたらしてくれたの。今思えば、ノアがいたから父の死を乗り越えられたんだと思うわ。」

なおノア君を抱っこするブライアンさんの写真を見ると、痩せて体調が万全でないことが分かるものの、穏やかで平和な時を過ごしていたことが伝わってくる。きっとキーラさんはノア君がもう少し大きくなった時、「これがあなたの誕生を心待ちにし、可愛がってくれたおじいちゃんよ」と話して聞かせるに違いない。

ちなみに昨年5月には、末期のがんの男性が亡くなる2日前に娘との対面を果たした。パートナーの女性が出産を2週間早め、男性の最期の願いを叶えていた。

画像は『Metro 2021年9月20日付「Woman has baby through IVF so dad with terminal cancer can meet his grandchild」(Picture: Caters)』『The Mirror 2021年9月20日付「Nurse became single mum at 25 so her terminally-ill dad could meet his grandchild」(Image: CATERS NEWS)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 A.C.)

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