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911は常に「911」だった

執筆:James Attwood(ジェームズ・アトウッド
翻訳:Takuya Hayashi(林 汰久也)

ポルシェのデザイナーであるミヒャエル・マウアーは、将来の電動911のデザインについて、すでに構想を練っていることを示唆した。しかし、完全電動モデルが2030年までに登場する可能性は低いとしている。

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ポルシェは同社の象徴とも言える911の電動化を長い間否定してきた。ガソリンエンジンに付随する感情や、バッテリー式EVの重量増加を理由に、電動化する最後のポルシェになるだろうと言われてきたのだ。

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7月にニュルブルクリンクで撮影された911ハイブリッドプロトタイプ    AUTOCAR

リアエンジンの911と同様のEVを作る上での課題について質問されたマウアーは、次のように答えた。

「現在の911のシルエットは非常に象徴的であり、維持しなければなりません。わたし達は長年にわたり、新型911は常に911であることに変わりがないことを証明してきました」

「エンジニアたちの話を聞いていると、排気系などの制約がある内燃機関では、10年後、15年後にこれをどうパッケージすべきか悩んでいたでしょうね。なぜなら、リアのオーバーハングが2m近くになる可能性が高いからです」

「しかし、今やその心配はなくなりました。電動化技術が自由を与えてくれたのです」

「そのうち目にすることができるでしょう。次世代モデルでは、まだ内燃機関の911を作ることができるかもしれませんが、わかりません。デザイナーとして、わたし達は解決策を見つけるでしょう」

フラット6の音は必要か?

ポルシェの上層部が電動911など考えられないと話していることについて、マウアーは「異なる意見」はポルシェの文化の一部であり、最良のソリューションにつながると答えた。

ポルシェは空冷から水冷に移行し、今ではターボエンジンを搭載しています。しかし、純粋にデザインの観点から言えば、電動式の911は将来的にさらに容易になるでしょう」

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7月にニュルブルクリンクで撮影された911ハイブリッドプロトタイプ    AUTOCAR

「わたしは以前、911はエモーションが100%だとよく言っていました。フラットシックスのエンジン音がすべてではありません。スタイリングやハンドリング、コーナーをどのように曲がっていくかが重要なのです」

「確かに音はありませんが、今の若い子たちにそれが必要なのでしょうか?」

911の完全電動化はまだ何年も先のことだが、先日ニュルブルクリンクで目撃されたプロトタイプは、長い間期待されていたハイブリッドモデルが開発の最終段階に近づいていることを示唆している。

現行の992型は、マイルドハイブリッドプラグインハイブリッドのパワートレインに対応できるよう設計されており、小型のトランスミッション一体型電気モーターを搭載するためのスペースがリアエンドに設けられている。

プラグインハイブリッドの性能はまだ明らかにされていないが、パナメーラターボS Eハイブリッドとほぼ同等の性能を目指していると考えられる。パナメーラターボS Eハイブリッドは、最高出力700ps、0-100km/h加速3.2秒、EVモードでの走行距離は50kmとなっている。


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