呪術廻戦伏黒恵役、「BORUTO」カワキ役など、声優として幅広く活躍中の内田雄馬が、9月22日に2ndアルバム『Equal』をリリース。リード曲「equal」の他「Rainbow」、「Over」、「Image」、「SHAKESHAKESHAKE!」、「Comin' Back」などのシングル表題曲、新曲8曲が収録されているバラエティに富んだ1枚だ。

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そんな約2年ぶりのアルバムに、内田はどんな思いを込めたのだろうか。音楽に対する姿勢、同作を引っさげてのツアー「YUMA UCHIDA LIVE 2021『Equal Sign』」への意気込みなどを含め、たっぷりと語ってもらった。

さらに、ラストにはアルバムタイトル『Equal』にちなみ、「内田雄馬=(といえば?)」をテーマにした質問も。

■今の内田雄馬が一番反映されている楽曲

――『Equal』というタイトルはどうやって生まれたのでしょうか。

タイトルをつけるときに、2枚目のアルバムということで“2”にちなんだいいものはないかって探していたんです。そのときに漢数字の“二”と記号の“=”が重なって。僕は、音楽をやる上で僕の音楽に触れてくださった方には「皆さんも内田雄馬です」ってお伝えしているんです。僕も皆さんと同じ世界に生きている1人の人間で、そんな僕の音楽が皆さんの力になればいいなという思いも込めて。そういう意味でも『Equal』というタイトルが合っているなと。

――リード曲も「equal」というタイトルですね。

そうなんです。まず作品全体として、“今の世の中に立ち向かっていこう”という気持ちも込めていて。僕の音楽のテーマは「挑戦し続けること」。“この作品を聴いてくれている人=内田雄馬”なので、何かに挑戦するときに1人じゃないよ、と。僕自身、コロナ禍に入ってから未来に不安を感じる瞬間が多くなったんですが、そんなときに、前を向いて一緒に進んでいけるようなポジティブな気持ちを音楽でみんなと共有できたらいいなと思って制作してきました。

1stアルバムと比べると、今回はより心に問いかける楽曲が多いというか。僕の精神的な部分や思っていること、在り方に関しての楽曲が多いです。リード曲「equal」もそう。約3年音楽活動をやってきましたが、“僕の音楽をきっかけとして、聴く人の人生が豊かになってほしい”っていう軸はずっと変わらないんです。その思いを改めて詰め込んだのが「equal」。今の内田雄馬が一番反映されている楽曲だと思います。

――強い思いがこもっているアルバムだからこそ、印象的な制作エピソードもあるんじゃないでしょうか。

今回は「こういう楽曲がほしい」ってプロデューサーさんに共有したり、「このアルバムを持ってライブをやったらどうなるんだろう」って考えたり、ベーシックな作り方でした。苦労したことはいっぱいあるんですけど、特別何かが起こったとかはありませんでした。ただ、集中力が求められることは多かったかも。

――集中力。それは、どんな場面で?

アルバムは新たに制作する楽曲数が多いということもあり、毎週歌を録らなきゃいけない期間が2カ月くらいあって。もちろんアルバム制作以外の仕事もありましたし、久々のアルバム制作というのもあって、壁にぶつかる瞬間は結構多かったかもしれません。例えば、曲とどう向き合って表現するのか、とか。それを短い時間で集中して、都度乗り越えていった感じです。

■元気を出したいときに聴いてほしい

――アルバムには色んなタイプの曲が収録されているので、歌い分けも難しそうですね。意識していることや、参考にしているものはありますか?

楽曲によりけりですね。僕の場合、声優としてキャラソンを歌うときはそのキャラクターの個性から歌い方や、表現の仕方を模索しつつ、リファレンスを探すんです。オーダーでもそういったイメージをいただくことが多いですね。

でも、アーティスト・内田雄馬として歌を表現するときは、自分がどう表現したいのか、何を伝えたいのかにしっかりとフォーカスして歌に落とし込んでいます。声優として得たものも、もちろんアーティストとしての表現の幅を広げてくれていますし、逆もまたありますね。

――“内田雄馬”という人間にインプットされたことで自ずとつながっているイメージですね。

その感覚が近いかもしれないです。声優だから、アーティストだから、というよりも何を表現するかで分けているのかもしれない。「こういうことを表現したい。どういうやり方で伝えよう? お芝居? 歌?」って。どうすれば受け取り手に伝わりやすいかを考えて、表現ツールを変えているイメージです。

――今回のアルバムは、受け取り手にどんなときに聴いてほしいですか?

やっぱり元気を出したいときに聴いてほしいです。去年1年間は、ライブで皆さんと会場でお会いする機会がつくれなかったりと、僕にとっても寂しいことがかなり多い年でした。そんなとき、自分自身が内田雄馬の音楽に元気を求めているって気が付いたんです。その結果出来上がったのが、このアルバム。自分の心の根っこと向き合う時間が長かったからこそ生まれた曲も多いし、皆さんにもパワーをあげられる1枚になったと思います。

――曲順にもこだわりがあったりも?

基本的には聴き心地を優先していますね。自分の感覚を信じて決めていきました。ただ、最後から2曲目の「I'm not complete」は入れる場所を悩みました。2年前くらいから僕がゴスペルをやりたいって言っていて、できた曲なんですよ。でもいざアルバムに入れてみたときに、この曲だけでメッセージが完結しすぎていて。それで13曲目に「向かうべき場所へ」を加えました。それによって、先を想像できる余地が生まれたんじゃないかと思います。

■こんなに楽しい空間はないと思います

――そんなこだわりが詰まったアルバムを引っさげて、10月には「YUMA UCHIDA LIVE 2021『Equal Sign』」が開催されます。

「やっとライブができるぞ」と、すごく楽しみです。生でお届けすることで、音源で聴くのとはまた違う『Equal』が生まれると思うんですよ。それはその日、そのときにしか味わえないもので、僕にとっても大きなポイントになるはず。それに、生で何かをお届けする機会が少ない声優にとって、ライブって本当に貴重なんですよね。だからこそ、リアルで音楽を共有できるライブという空間は自分にとっての潤いになっています。僕の音楽を好きでいてくれて、それを聴きに多くの人が集まってくれているって、こんなに楽しい空間はないなって思うんです。1stライブを振り返るとやっぱり特別な瞬間ですよね。

今回のライブでも、お客さんとたくさんコミュニケーションを取りたい。僕はよく「一緒に踊ってください」って言うんですけど、中には踊ることが恥ずかしいっていう方もいると思うんです。でも僕が踊ることは恥ずかしくない、怖くないって思えるような空間を作ります! 友達と遊んでいるような感覚で楽しんでほしいです。

――本当にライブを楽しみにされているのが伝わってきました! それでは、アルバムを聴く方にメッセージをお願いします。

“ちょっと気になるな”でも、“たまたま名前が目に入った”でもいいので、1曲でも聴いていただけたらうれしいです。挑戦したい、力が欲しいって方は内田雄馬の音楽を聴いてみてください、ライブに遊びに来てください。この先もいろんなことにチャレンジして、たくさんの人と出会って、エネルギーをもらって、また新しいものを生み出していきたいと思っています。まずは『Equal』を聴いて、一緒に頑張っていきましょう!

内田雄馬=(といえば?)

あだ名=

あだ名ってあんまりなくて、ほとんど下の名前で「ゆうま」って呼ばれています。でも、蒼井翔太さんだけは何年経っても「ゆーまん」って(笑)。しょーたん(蒼井)だけはずっとそれで呼んでくれていますね。

好きな食べ物=

十割のそばを自分で打ってしこたま食べてます。そばが好きな人は絶対やった方がいいですよ。やり方を覚えちゃえば20分くらいでできちゃうし。ご興味がある方は、内田雄馬のラジオ番組のDVDが教則本になっているので、ぜひ!(笑)

好きなアーティスト=

ずっと三浦大知さんが好きです。歌って踊るっていうシンプルなパフォーマンスを究極まで突き詰めていて、最高にかっこいい! どの曲も好きで選べないですけど、MVだったら「Listen To My Heartbeat」!

最近うれしかったこと/ハマっていること=

うれしかったことは家が片付いたこと。家の中全部を大掛かりに掃除していたんですけど、それが全部終わりました。頑張ればやれるもんだなって(笑)。ハマっているのは温泉水。ネットで買って、そればっかり飲んでいます。

仲がいい人=

石川界人くんとはずっと仲が良いんですけど、最近よく一緒にいるのは榎木淳弥くんと中村悠一さん。でも、榎木くんと中村さんと仲がいいって言うと界人くんが拗ねるんです(笑)。

「〇〇の秋」でイメージすること=

「旅行の秋」。もっぱら国内旅行派で、この状況じゃなかったら今でも頻繁に旅行に行っていたと思います。お気に入りは軽井沢。避暑地として夏に行くのもいいですし。秋だと吾妻渓谷とか昇仙峡なんかが綺麗でいいと思います。

取材・文=高橋梓

約2年ぶりのアルバム『Equal』をリリースした内田雄馬/ 撮影=菅慎一/スタイリスト=奥村渉/ヘアメイク=花嶋麻希