ギャンブルは一度のめり込んだらなかなか辞められないもの。深入りするつもりはなくても、当たった時の快感や成功体験を忘れられず、いつの間にかお金をつぎ込んでしまった人も多いのではないでしょうか。

 社会人4年目の藤原新さん(仮名・26歳)は「YouTubeに影響されて、競馬にのめり込んでいった」と自身の失敗体験を語ります。

競馬
画像はイメージです(以下同じ)

始めた当初、競馬は「友達と遊ぶ手段だった」

 藤原さんが競馬を始めたのは3年ほど前。当時通っていた大学の先輩やサークルの仲間たちとWINS(場外馬券売り場)に行ったのがきっかけだと言います。

「最初は教えてもらいながら適当に賭けていました。学生時代は『競馬が楽しい、儲けたい』というよりも、終わった後にみんなで飲んだり、予想し合うのが楽しかったですね

 時には競馬場まで足を運び、競馬を通して友人との交流を楽しんでいたという藤原さん。当時は初心者だったこともあり、一番当てやすい「複勝(選んだ1頭が3着以内に入れば的中になる馬券)」を中心に、数百円程度の賭け金で遊んでいました。

「(複勝は)当たりやすいぶん当然リターンも少ないですけど、『タバコ代や飯代が浮けばラッキー』ぐらいに思っていました」

1レースで数十万円も賭けるように

場外馬券場

 藤原さんにとって競馬は、あくまでも友人と遊ぶための手段だったようです。やがて大学を卒業し、自然に仲間と集まって競馬をする機会もなくなりました。ただ、週末に競馬をやる習慣は残ったそうです。

新卒で仕事も忙しく、ストレスを発散できる趣味もなかったため、週末は惰性で馬券を買っていましたね。一人でネットから買えるので手軽ですし」

 社会人になったことで収入も増え、だんだん賭け金も増えていったそうです。一緒に楽しむ友人や話し相手もいなかったため、おのずと熱中するようになり、賭け金や儲けのことで頭がいっぱいになっていきました。賭け金が大きくなるにつれ、「当てて軍資金を増やそう」「外したから負けを取り戻そう」という思いも強くなり、時には1レースで数万円から数十万円賭けていたとか

大金を賭けるYoutuberに触発され…

 競馬にのめり込んでいった藤原さんは、YouTubeでも競馬関連のコンテンツを見るようになります。主に視聴していたのは、予想モノや大金を賭けてその一部始終を撮影した実践モノでした。そのなかでも藤原さんは、「複勝ころがし」という賭け方を行うYouTuberにハマっていきます

『複勝転がし』は、的中したレースの払戻金を、次賭けるレースに全額つぎ込む掛け方です。例えば、1レースで1万円賭けて、それが的中して2万円になったら、次賭けるレースに2万円突っ込むという流れです」

 醍醐味は、的中が続けば軍資金が膨らみ、当てやすい複勝で元手をかけずに配当を増やしていけるところ。しかし、当然ながら一度外れたら、元手をすべて失います。いくら堅実に立ち回っても、競馬で何連勝もするのはなかなか難しいものです。

 やめ時をきちんと決めれば「勝ち逃げ」できるのですが、なかなか引き際がつかめず、「複勝転がしはほとんど失敗していた」と藤原さん。それでもYouTuberの「複勝転がしで100万円突破!」「1万円から〇〇円に!?」といった動画の成功体験に煽られ、ついつい同じ過ちを続けてしまったと振り返ります。

平日も競馬三昧、仕事にも支障をきたす

競馬

「いつも1万円から複勝転がしを始めて、最終的に元手を失って、また新たに1万円を投資して……ということの繰り返しでした。複勝転がし以外でも、自信のあるレースは別で買っていたこともあり、毎月平均で15万円ほど負けていたと思います」

 大金を賭けるスリルもやめられない要因だったと振り返ります。ただ、掛け金が大きくなるほどあそこでやめていれば……」「あの時、当たっていれば……」という悔しさもより一層尾を引きます。

 やがて藤原さんは、土日だけでなく、平日に開催されている地方競馬にも手を出すようになります。一度、競馬やお金のことを考え始めると、仕事に集中できず上の空だったのだとか。営業職だったため、外回りと伝えればサボれるのをいいことに、喫茶店などで結果を確認していたといいます

貯金をわずか半年で失ってしまい…

口座

「今思えば、お金だけじゃなく、時間もだいぶ無駄にしていました。競馬のことが気になるとそれしか考えられなくなって。競馬にはまっていた時期は、完全に中毒状態でした」

 最終的に新卒時にあった40万円ほどの貯金を半年ほどで失い、営業成績も同期と差をつけられる結果となりました

 軍資金がなく強制的に競馬をやめることになった後も、しばらく頭から競馬のことが離れず「立ち直れなかった」とうなだれながらつぶやく藤原さん。さすがに反省して今では、ネットの口座の入金額を2万円に制限して遊んでいるそうです

 ギャンブルも仲間内で遊ぶ趣味としては健全ですが、度をこえると痛い目を見ます。趣味として楽しむなら、我を忘れない程度に距離を置いて楽しむのが、ストレスなく遊べるコツなんでしょうね。

TEXT/佐藤隼秀 イラストパウロタスク(@paultaskart)>

-[借金に泣いたエピソード]-

【佐藤隼秀】

1995年生まれ。大学卒業後、競馬会社の編集部に半年ほど勤め、その後フリーランスに。平日はライター、週末はゴールデン街での店番バイトで生計を立てる。趣味は飲み歩き・散歩・読書・競馬