Q ニュースで聞く「書類送検」って何? 罪になる? ならない?

 ニュースを見ていてもしばしば目にする「書類送検」という文字なのですが、これはどういう意味なのでしょうか。「逮捕されなかった」ということなのか、「逮捕はしたけど罪には問われなかった」のか、「罪が認められた」と考えるべきなのか、「前科」がつくのか。どう理解すればいいのか教えてください。(20代・男性・学生)

A 愛知県大村秀章知事へのリコール署名活動を例にしてみると…

「書類送検」とは、警察が調べた証拠や書類を検察に送るという意味です。逮捕した容疑者を取り調べて検察に送る場合も、一緒に書類を検察に送りますが、この場合は「身柄送検」と表現します。

 一方、容疑者を逮捕しないで任意で取り調べた場合は、書類送検という表現になります。

 送検された人を起訴するかどうかは検察が決めること。なので、書類送検されただけでは「罪が認められた」ということにはなりません。

 ただし、警察として逮捕しないで任意で調べても、「罪に問うべきだ」と判断すると、送検の書類に「厳重処分願いたい」つまり「起訴が望ましい」という意見をつけます。

 この書類送検の表現が、最近論議を呼びました。それは、愛知県大村秀章知事へのリコール署名活動をめぐり、美容外科医高須克弥氏から地方自治法違反容疑で刑事告発されていたジャーナリスト津田大介氏や精神科医の香山リカ氏ら4人について、愛知県警が名古屋地検に「書類送検」したというニュースです。

 これは、刑事訴訟法の規定で、警察は告発を受理した場合は、必ず検察に書類や証拠物を送付しなければならないと決められているからです。これを「書類送検」と報じたメディアもありましたが、「これではまるで犯罪人扱いだ」という批判が出ました。

 そこで、書類送検ではなく、「書類送付」という表現で、「警察が犯罪者と見ているわけではない」というニュアンスを出したメディアもありました。

 一方、「書類送検」という表現を使いながらも、「起訴を求めない意見を付けたとみられる」と付記したメディアもあります。警察は罪に問うような事件ではないと判断したことを意味します。要は「手続きに従っただけです」と伝えたのですね。

(池上 彰)

©iStock.com