台湾の国会に相当する「立法院」に18日午後9時ごろ、学生ら100人以上が突入して議場を占拠した。馬英九政権が批准を目指す、大陸側とのサービス貿易協定を阻止しようとした。警察側は19日午前3時台と5時半台の2回に分けて強制排除を試みた。占拠側が激しく抵抗したため、警察官4人が負傷して病院に搬送された。中国新聞社などが報じた。

 学生ら100人あまりが18日午後9時ごろ、守りを固めていた立法院のゲートを突破。建物内に突入し、議場のガラス扉を破壊して内部に侵入した。突入側はサービス貿易協定に反対する垂れ幕などを用意。さらに、ミネラルオーターやパンやおにぎりなどの食料、寝袋も用意しており「長期戦」の構えを見せた。

 警察側は19日午前3時37分に第1派の強制排除作戦を開始。しかし、占拠側に押しかえされて失敗した。警察側は午前5時23分ごろ、再び強制排除に取り掛かった。しかし、抵抗が激しく、約1時間にわたって占拠側が設けた障害物を突破できなかった。

 ほぼ同じ時間帯に、立法院外に集結した新たな100人が院内突入を試みた。警官隊と激突したが、突入は阻止された。激しい抵抗により警察官4人が負傷して病院に搬送された。占拠側にもけが人が出たが、重傷者はいなかったとみられる。

 馬英九事務室の李佳霏報道官は18日時点で「各方面が理性的に、温和に自らの意見を表明することを希望する」と表明。馬総統も同日、「立法院の国民党議員団の、サービス貿易協定に対する努力を感謝する。台湾は国際社会から孤立することはできない。野党には台湾にとっての罪人にならないよう希望する」と述べた。

 同協定は台湾の世論を2分する、政治上の大きな争点の1つになっている。賛成派は、巨大市場である大陸との提携強化を重視し、台湾側の開放の度合いも世界貿易機関WTO)の規則と同程度で、協定により負の影響がでる業種についても、良性の競争をもたらすと主張。反対派を「貿易保護主義」とする批判もある。

 反対派は、協定締結に至る過程に不明な点が多いことや、立法院における強引な進めを指摘。経済面では「恩恵を受けるのは大企業だけ」との指摘もある。さらに同協定は台湾側の印刷出版業を大陸資本に開放する内容が盛り込まれているので、「言論の自由が損なわれる」との主張もある。

 馬英九総統は同協定について2013年9月時点で「条文ごとに審議し、条文ごとに評決する。一括評決はしない」と表明。野党側との話し合いの結果だった。

 3月下旬になり「一括評決はしない」との前言をひるがえしたため、反対派が反発を強めた。国民党所属の張慶忠律法委員(議員)は17日、議場内で「法律にもとづき、審議は終了した」と宣言。馬英九政権側は「張慶忠議員の苦労に感謝する」と表明したため、反対派がさらに態度を強硬にした。

 台湾最大野党の民進党は張議員の発言は認められないとして、一部参加者のハンガーストライキを含む、「立法院120時間包囲」のデモを続けている。次の開会となる3月21日には「全民による立法院包囲」を実施する考えだ。(編集担当:如月隼人)