希少な骨のがんの治療で髪を失った息子のため、父は胸まであるドレッドヘアをSNSのライブ配信で切り落とした。鏡に映る父をじっと見つめる息子と、息子に優しく語りかける父。そんな2人のやり取りが人々に感動を与え拡散している。『KTVU FOX 2』などが伝えた。

米オハイオ州アクロン在住のアキーム・ミムス君(Ahkeem Mims、7)は8月3日、膝の痛みを訴えて緊急治療室に搬送された。両親は当時「膝を捻ったのだろう」と軽く考えていたが、アキーム君はその後ピッツバーグ小児病院で骨肉腫と診断された。骨肉腫とは骨にできる悪性腫瘍で、患者数は少ないが10代に発症することが多い。

やんちゃだったアキーム君だが、治療が始まるとフットボールをすることも学校に行くことも外遊びもできなくなり、松葉杖を使い車椅子で移動するようになった。また今後も化学療法や手術が予定されており、回復までの道のりは決して平坦ではない。

そんな息子を見かねた父レイショーンさん(Rayshawn)は9月16日、化学療法で髪の毛を失った息子のためにSNSのライブ配信でドレッドヘアの頭を丸刈りにした。そしてこの時の動画は『Good Morning America』などのメディアが伝えて拡散し、父と息子の静かで温かいやり取りが多くの人に感動を届けている。

動画では、鏡を前に息子に語りかけながら髪を切り始めるレイショーンさんと、それを不安そうな表情でじっと見つめるアキーム君の様子が映し出される。アキーム君はきっと、髪を失った頭をきれいに丸刈りにした直後だったのだろう。会話はこんなふうに始まる。

レイショーンさん「髪を切らなくてはならなかったのは嫌だった? 少しだけそう感じた? それともそんなことはなかった?」
アキーム君「嫌だった。」

レイショーンさん「でもなぜ髪を切らなきゃいけなかったのか、分かっているよね?」
アキーム君「なぜなら…」

レイショーンさん「なぜなら、薬が君を治してくれるからだよね。それに髪はまた生えてくるさ。」
アキーム君はうなずいている。

レイショーンさん「でもさ、君は強いよ。これまでもずっと強かった。そしてこれからもずっと強くあり続けるんだ。だから君は大丈夫だよ。分かるよね?」
ここでもうなずいてみせるアキーム君。

レイショーンさん「君がこれから経験することは、私も一緒に切り抜けるから。分かった?」
うなずく息子を前に、レイショーンさんはドレッドヘアにバリカンを入れるが、「これは今日は使えないな」と言うとハサミを使って髪を切り始める。

レイショーンさん「これから君と一緒に髪を切るからね。だって君の人生に起こることは、私も一緒に乗り越えるんだから。君は強くなくちゃいけないんだ。そして私も君と一緒に強くあるから。分かるかい?」
ハサミで長い髪を切る父をじっと見ながら、うなずくアキーム君。

レイショーンさん「だから私は髪を切るんだ。私たちは一緒に頑張るんだよ。」

短髪になりすっきりとしたレイショーンさんはその後、「さあ、バリカンの出番だ」と言って頭にバリカンを入れ始めた。そんな父を大きな目でじっと見つめるアキーム君。心配そうな顔つきで笑顔はないものの、レイショーンさんは笑いながら「どう思う? 僕たちカッコいいよね」と優しく言葉をかける。

こうしてやっと頭を刈り終えた父は「まるで双子だよな。君は小さな私(ミニ・ミー)みたいだ…」などと息子に語りかけ、頭を撫でた。

なお5児の母シャネイさん(Shannae)は仕事を一時休んでアキーム君のケアにあたっており、治療費などを集めるために9月17日クラウドファンディングサイト『GoFundMe』を立ち上げている。目標額約56万円(5000ドル)のところ、10月1日現在で約500万円(44,968ドル)の寄付が寄せられており、家族には次のような応援メッセージが次々と届いている。

「私も父親でがんのサバイバー。家族ほど大切なものはない。強い心で乗り切って!」
「涙が止まらなかった。あなたたちのために祈り続けるよ。」
「なんて素敵な父親なんだ!」
「父と息子の絆を感じる。」
「治療が上手くいくといいね。」
「負けないで! 応援しているよ。」
「決してあきらめちゃダメだよ!」
「大丈夫! 信じることだ!」

画像は『NowThis 2021年9月28日付Facebook「Watch this dad shave his locs in support」』『Rayshawn Mims 2021年9月17日付Facebook、2021年9月30日付Facebook「Shout out to Jamal Woodson」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 A.C.)

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