2014年に「おかやま美少女・美人コンテスト」の美少女グランプリを受賞し、翌年“岡山の奇跡”として注目されて以来、ドラマ、映画、CM、舞台などで活躍の場を広げる桜井日奈子。そんな彼女が主演を務める真夜中ドラマ「ごほうびごはん」(BSテレ東・毎週土曜深夜0時~/テレビ大阪・毎週土曜深夜0時56分~)が、10月2日(土)よりスタートする。

【写真】桜井日奈子の激カワなメガネショットを撮り下ろし!

累計約120万部(紙・電子合計)を突破した、こもとも子の同名人気コミック「ごほうびごはん」(芳文社「週刊漫画TIMES」連載中)を連続ドラマ化した本作。上京したばかりの新社会人・池田咲子が、慣れない仕事で疲れた時に、自分を思いきりねぎらう“ごほうびごはん”を楽しむ様を描く。

そんな、主人公の咲子を演じる桜井に、ほんわか癒やし系グルメドラマとなる本作の魅力や、デビュー当時の話などを聞いた。

■咲子に共感「食事はお腹を満たす作業ではなく、自分の欲を満たせるようなものに」

――本作の脚本を読まれた時の感想を聞かせてください。

桜井日奈子】たくさんおいしいご飯が食べられる作品なんだなと思いました(笑)。私はテレビ東京さんの「孤独のグルメ」や「忘却のサチコ」、BSテレ東さんの「ワカコ酒」をはじめとしたグルメドラマが大好きだったので、自分が同じジャンルの作品に出演できるのはうれしいと思いながら脚本を読んでいましたね。

――テレビ東京BSテレ東で放送されるグルメドラマの人気の理由はどこにあると思いますか?

桜井日奈子】やっぱりご飯がおいしそうだからじゃないかと思います。私の中では、グルメドラマ=テレビ東京BSテレ東というイメージがあって。撮影中も、スタッフさんのグルメカットへの力の入れ具合がすごいんです。ご飯をおいしく見せるカットにこだわっていて、私もモニターを見ながら食欲をそそられています(笑)。

あとグルメドラマは、すごく気分が落ち込んでいても、何も考えずに気軽に見られるジャンルですよね。「ごほうびごはん」もそのような作品にできるように頑張りたいです。

――演じる咲子はどのような女の子ですか?演じるうえで気を付けていることがあれば教えてください。

桜井日奈子】咲子は“おしゃれより食”という、食に対する思いが人一倍強い女の子です。長野から上京してきた社会人1年目で、慣れない東京にあくせくしていますが、ご飯にパワーをもらっています。

今回、主演という形で咲子を演じますが、私はグルメドラマの本当の主役はおいしいご飯だと思っていて。なので、見てくださる方の食欲をそそるようなリアクションや、咲子の食に対する思いをちゃんと表現したいと思っています。

――岡山から上京された桜井さん。咲子と重なる部分もあると思うのですが、共感できる部分はありますか?

桜井日奈子】私も上京したての頃は、毎日慣れない東京に疲弊していたので、そういうところは共感しますね。また、食べることもすごく好きなので、咲子の「どんな状況でもご飯だけは譲れない」というセリフにぐっときて。私も食事は“お腹を満たす作業”ではなく、自分の欲を満たせるものとして、一食一食を大切にしています。等身大の自分に近い部分が結構あったので、逆に役作りをどうしようと悩みました(笑)。

――そうなんですね。ちなみに、どのような役作りをされたのですか?

桜井日奈子】食べる時の表情は、グルメドラマを見て研究しましたね。おいしいものを食べて体が震える瞬間を表現できるように意識して。ご飯を食べるシーンは咲子のテンションが一番高いシーン。ほんわかしている子ですが、ご飯を最初に口に入れた時の表情など、食べるシーンはドラマ全体でのテンションの1、2個上になるように演じています。あと、地声が少し低めなので、ふわふわした女の子感を出すように、1、2トーン上の声で発声しています。

咲子は自炊で“ごほうびごはん”を作ることが多いんです。私も元々自炊はしていた方ですが、この作品が決まってからは基本、毎日料理をするようになりました。

――どのような料理を作られているのですか?食に関して意識していることがあればお聞かせください。

桜井日奈子】腸活を始めたので、発酵食品や食物繊維が豊富なものを意識的にとるようにしています。料理でこだわっていることは、ニンニクショウガはチューブのものを使わないこと。そうすると味がすごく変わるんです。それに気付いてからは面倒でもちゃんと自分ですりおろしています。

あと、最近ヘビロテしてしまう料理はカレー。スパイスカレーのように凝ったものではなく、簡単に作れるものですが、ビールを1缶入れて煮込むのが隠し味です。ビールを入れるとコクと香りが増すような気がするのと、お肉も柔らかくなって、すごくおいしいんです!

■大の和食好き!「お店は魚の切り身が分厚いかどうかで決めています(笑)」

――桜井さんにご自身にとって、絶対かかせない“ごほうびごはん”は?

桜井日奈子卵焼きです。高校の頃、毎日お弁当に入っていた母親特製のお砂糖たっぷりの甘い卵焼きがおいしくて、好物になりました。東京にはおいしい卵焼きの店がたくさんあるので、そういうお店を見つけては食べて、元気をチャージしています。

――先ほど、自炊されているとおっしゃっていましたが、外食することもありますか?

桜井日奈子】最近は全然してないですね。行きつけのお店があればいいのですが、初めてのお店に入るのがちょっと怖くて、家で済ませがちで(笑)。近所に行きつけのご飯屋さんやバーがある人に憧れます。

――ちなみに飲食店を探す時に、重視されているポイントなどはありますか?

桜井日奈子】和食が好きなので、基本、和食が楽しめるお店を選びます。特にお魚が大好きなので、ネットでお店を探す時は、焼き魚やお刺身など、魚の切り身がどれだけ分厚いかで判断しています(笑)。

――分厚いお魚、食欲をそそられますね。お酒も飲みますか?

桜井日奈子】お酒は好きで、次の日にお仕事がなければ飲みますね。ドラマ期間中は飲めないので、クランクアップしてからの分厚い切り身のお魚とお酒を楽しみに、撮影を乗り切りたいです(笑)。

――カフェなどは普段行きますか?

桜井日奈子】カフェ巡りをよくします。家だと台本がなかなか覚えられないので、カフェをはしごして、台本を覚えていて。ゆっくり台本を覚えたいので、賑やかだったり、混んでたりするところは避けて、ゆっくりできるお店を選んでいます。

――地元の岡山でもカフェ巡りはされていたのですか?

桜井日奈子岡山市の奉還町という場所に、おしゃれでかわいいカフェが集中しているので、帰省した時はよく訪れていました。岡山の桃やブドウなど、フルーツをたくさん使ったスイーツやB級グルメが食べられるので、新型コロナウイルスの流行が落ちついて岡山を訪れることがあったら、ぜひ行ってみてください!

■「この時代は何がきっかけでチャンスに変わるか分からない」

――劇中では、新社会人として失敗する姿など社会人としての成長も描かれますが、ご自身のデビュー当時はどのような感じでしたか?

桜井日奈子】ひと言で言うと、怖かったですね。私は、芸能界に小さい頃から入りたかったわけではなく、ただおもしろそうだなと思ってコンテストを受けて。そこでグランプリを受賞させていただき、それがきっかけでテレビにも出始めて、あれよあれよという間に周りの私を見る目が変わっていったんです。その時はお芝居もまったくしていなかったし、何か特別評価されるものがあるわけでもなく、ただ注目度だけがどんどん先にいってしまった感じで。

「こういう仕事があるよ」と言われてやってはみるものの、それがどういうものでどういう意識でやらないといけないか、当時は全然分かっていなくて。日々を乗り越えるのに精一杯でした。

――失敗することもあったと思いますが、その時はどうやって乗り越えたのですか?

桜井日奈子】周りがまだ学生の中、私は知らず知らずに社会人になっていた感じで。本当に無知で、バラエティでの対応などまったくできなかったんです。厳しいことも言われ、自分が納得して反省できるまでに時間がかかっていましたね。母親に電話したり、眠ったり、おいしいものを食べたりして乗り越えてました。

――デビューして7年、新人時代と一番変化した部分はどういったところだと思いますか?

桜井日奈子】本来、仕事が決まればうれしいものなのに、デビュー当時は「決まっちゃったか…」と思っていました。自分でやりたいわけではなく、与えられた一つひとつの仕事をただこなしていたという感じで。でも、今は逆で「やりたい」、「初めてのことにも意欲的に挑戦したい」と感じるので、そこが一番の変化かもしれません。この時代は何がきっかけでチャンスに変わるのか分からない。今は自分でチャンスを掴みにいっています。

――2016年、『そして、誰もいなくなった』(日本テレビ)で初めて連続ドラマに出演されてから5年、女優として成長したと思える部分はありますか?

桜井日奈子】自分ではないと思っていますし、マネージャーさんに「自分でそれを感じたら終わっちゃうよ」と言われていて。ただ、当初から人の心を動かせるようなお芝居をしたいという思いは変わっていないです。

――桜井さんにとって、女優の仕事とはどういったものですか?

桜井日奈子】私は元々、女優を目指していたわけではないですけど、ほかに夢があったわけでもなく、今は女優以外のお仕事は考えられなくて。私が目標にしたというより、向こうから迎えに来てくれたのだと思っています。

――今後、出演してみたい作品のジャンルがあれば教えてください。

桜井日奈子】グルメドラマはやってみたいと思うジャンルのひとつだったので、今回の出演はすごくうれしかったです。あとは、アクションをやりたくて。13年間バスケをやっていたので、その運動神経を活かせるかなと。自分の代表作だと言えるような作品に出合える機会は多くないと思うので、そのチャンスを逃さないように準備は常にしています。

――最後にドラマを楽しみにしている方々にメッセージをお願いします。

桜井日奈子】作業ではなく、欲を満たすための食事を楽しむことで、日常の中に楽しみを見つけられ、自分の人生が少しでも豊かになるのではないかなと思います。このドラマで、それを感じていただけたらうれしいです。

撮影=鎌田瞳

取材・文=高山美穂

BSテレ東「ごほうびごはん」で主人公の池田咲子を演じる桜井日奈子