2019年に発生した東京・池袋の暴走事故で、9月に禁錮5年の有罪判決が確定した飯塚幸三氏が、過去に受賞した勲章を「褫奪(ちだつ)」されたことがわかった。

 飯塚氏は2015年に、特に重要と認められる職務を果たした人物に贈られる「瑞宝重光章」を受賞していた。ただ、勲章を持つ者が、死刑、懲役刑、3年以上無期の禁錮刑で実刑判決を受けた場合は、褫奪される。これは本人の意思とは関係ない自動的なものだ。

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 勲章を褫奪された人物としては、アテネ北京オリンピックメダリストの元柔道選手の内柴正人氏が挙げられる。内柴氏は2011年に準強姦事件を起こし、懲役5年の実刑判決が確定。そのため、学術やスポーツで優れた業績を挙げた人物に贈られる「紫綬褒章」を2度受けていたが、ともに褫奪された。

 日産自動車カルロス・ゴーン元会長は、2004年に外国人経営者として初めて、教育、医療、社会福祉、産業振興などの分野において公衆の利益に貢献した者に授与される「藍綬褒章」を受賞。だがその後、特別背任罪等で起訴され、裁判の判決次第では、勲章が褫奪される可能性が取りざたされていた。ところが、2019年12月にレバノンへ亡命。そのため、現在も褫奪は行われないようだ。

 ミュージシャンの桑田佳祐氏は、2014年に「紫綬褒章」を受賞。ところが年末の年越しコンサートで、勲章を取り出し「5000円からいきましょう」とオークションにかけるパフォーマンスを行った。この行為に批判が殺到し、桑田氏は年明けに謝罪している。しかし、「勲章を返上しろ」といった声が相次いだ。過去には一般人が自主返納をした事例もあるが、桑田氏にはそうした動きは見られなかった。

 これまでの歴史を見ても、受賞者の数に比して褫奪された人の割合は少ない。褫奪は、ごく一部の例外的なケースと言える。やはり、受賞者たちはそれなりの資質を備えた人たちなのかもしれない。

内柴正人