近年リアリティ番組やモキュメンタリー作品が世界的な人気を博すようになり、再注目を浴びている“モンド映画”。その原点といえるイタリアの映画監督グァルティエロ・ヤコペッティの没後10年にあわせ、彼の代表作である「残酷3部作」を収録したブルーレイボックス「没後10年 ヤコペッティ 残酷BOX」が12月15日(水)に発売される(単品商品、DVDも同時発売)。

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モンド映画”とは、やらせも含んだショッキングな演出とセンセーショナルな宣伝を伴いながら、世界の変わった奇襲や風習、衝撃映像などを記録したドキュメンタリー映画のこと。ヤコペッティ作品のヒットを契機に1960年代〜1970年代に世界的な大ブームを巻き起こし、『スナッフ/SNUFF』(75)や『食人族』(81)などいまなお語り継がれる怪作が相次いで誕生。日本でも中川信夫監督の『日本残酷物語』(63)などが製作された。

今回の「残酷BOX」に収録されるのは、今年行われた特集上映「未体験ゾーンの映画たち2021」でも上映された異色ドキュメンタリー3作品。“夜もの”と呼ばれた性風俗映画を撮っていたヤコペッティが世界の奇習や風習を記録し世界中で大ヒットを記録、主題歌がアカデミー賞にもノミネートされた『世界残酷物語』(62)。1作目のヒットを受けて急きょ製作されたものの、監督としてクレジットされているヤコペッティ自身がまったく関わらなかったことでも知られる『続・世界残酷物語』(63)。

そしてヤコペッティ最大の自信作でありながら、お家芸である“やらせ”が原因で大バッシングに遭い興行的に大失敗に終わるどころか、本物の処刑シーンを収めたことで殺人教唆の罪で告訴されることとなった問題作『さらばアフリカ』(66)。この3作品がいずれもHDニューマスター&オリジナル完全版として、半世紀以上の時を経て再臨。是非ともその衝撃を目撃してみてはいかがだろうか。

文/久保田 和馬

“モンド映画”の原点!ヤコペッティの残酷3部作がブルーレイ化