地域の文化・自然遺産を未来へと守り伝える “プロジェクト未来遺産”を対象に支援を決定
公益社団法人 日本ユネスコ協会連盟は 日本の地域の文化や自然を100年後の子どもたちに伝えていくことを目指し、2009年から未来遺産運動を行っています。地域の文化や自然を保護・保全、継承する市民活動を「プロジェクト未来遺産」として登録し、現在、全国37都道府県で73プロジェクトを数えます。

2020年、2021年度は、新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、新たな「プロジェクト未来遺産」の募集、登録は中止いたしました。
しかしながら、コロナ禍でも活動を推進している「プロジェクト未来遺産」に対し、特に影響を受けている無形分野を対象に「コロナ特別応援金」を設置し、支援を行うことといたしました。

2021年10月8日(金)にオンラインで開催された未来遺産委員会にて、無形分野の「プロジェクト未来遺産」から申請のあった「コロナ特別応援金」の審査を行い、下記の8プロジェクトへの支援を決定しました。

また、2021年11月19(金)には、活動の一助となるよう、無形分野の「プロジェクト未来遺産」で、課題や情報交換を行うオンライン交流会を実施予定です。

<「コロナ特別応援金」の助成決定プロジェクト>
1.葵プロジェクト(一般財団法人 葵プロジェクト/京都府京都市
2.みんなでかぶこう!!プロジェクト~農村歌舞伎祇園座(香川町農村歌舞伎保存会/香川県高松市
3.伝統行事を支えていく未来の担い手育成事業(春を呼ぶ会/三重県名張市
4.笑い講とお笑い講で世界中に笑いを広める運動(一般社団法人 防府市観光協会/現:一般社団法人防府観光コンベンション協会/山口県防府市
5.鬼と炎が舞う長岩屋修正鬼会(長岩屋修正鬼会保存会/大分県豊後高田市)
6.山口鷺流狂言伝承者育成プロジェクト~子ども達に残す鷺流狂言~(山口鷺流狂言保存会/山口県山口市
7.未来へつなぐ子ども達の健康と健やかな成長を~田井の子供神相撲~(田井子供神相撲保存会/香川県高松市
8.「くも合戦」保存プロジェクト(姶良市加治木町くも合戦保存会/鹿児島県姶良市

<未来遺産委員会委員>
西村幸夫(委員長) 國學院大學教授、齊藤裕嗣(国立文化財機構東京文化財研究所無形文化遺産部客員研究員)、酒井暁子(横浜国立大学大学院環境情報研究院教授)、鈴木佑司(公益社団法人日本ユネスコ協会連盟理事長)、高橋弘行(東日本旅客鉄道株式会社 常務執行役員)、土屋誠(琉球大学名誉教授)、永山健作(ジェットスター マーケティング&PR本部長)、名越章浩(日本放送協会解説委員室 解説主幹)、西山厚(帝塚山大学客員教授・半蔵門ミュージアム館長)、西山徳明(北海道大学教授)、早坂学(読売新聞東京本社 編集局社会部部長)、矢野和之(株式会社文化財保存計画協会代表取締役)、山田照郷(住友ゴム工業株式会社 社会貢献推進室長)、鷲谷いづみ東京大学名誉教授)

<プロジェクト紹介>
1.葵プロジェクト(一般財団法人 葵プロジェクト/京都府京都市

毎年5月15日に執り行われる京都三大祭のひとつ「葵祭」では、二葉葵の葉っぱが約1万枚も使われる。しかし、環境の変化とともに二葉葵の自生地は年々減少し、日本を代表する伝統行事である「葵祭」の古式に則った継承が危ぶまれている。そこで、上賀茂神社境内に自生する二葉葵の里親を募り、市民による「葵の森」の再生を図るとともに、日本の伝統を支える自然と文化のつながりを次世代に伝えている。
2.みんなでかぶこう!!プロジェクト~農村歌舞伎祇園座(香川町農村歌舞伎保存会/香川県高松市
香川県高松市香川町の東谷地区において、180年以上伝承されてきた農村歌舞伎芸能「農村歌舞伎祇園座」を保存し、次世代へ継承している。そのために、農村歌舞伎芸能の先達による技能向上のための講習会の実施や後継者養成の一環として部活動や授業の中で歌舞伎に触れる機会を提供し、誰でも気軽に参加できる歌舞伎をめざし、各自治体等の要請に応じての歌舞伎公演も行う。また、古くから東谷地区に伝わる歌舞伎衣装及び道具類の散逸を防ぎ、適切に使用や管理保存を行っている。

3.伝統行事を支えていく未来の担い手育成事業(春を呼ぶ会/三重県名張市
関西に春を告げると言われる『お水取り』(東大寺二月堂修二会)で使われる松明木を760年前より寄進している「伊賀一ノ井松明調進行事」が、地元には残されている。地域では、「講」が組織され伝統行事を守り継いでいるが、後継者不足、高齢化という問題を抱えている。春を呼ぶ会では、25年前より講を中心にサポート体制を整え、いにしえの姿に戻し、古道を通り東大寺まで運ぶ行程を一般の人たちにも体験をしてもらい、伝統行事や地域文化への理解と協力を市内外へ積極的にPRしている。近年は地元高校生にも呼びかけ、体験学習、地域貢献として次世代の若者たちの積極的な参加も進めている。


4.笑い講とお笑い講で世界中に笑いを広める運動(一般社団法人 防府市観光協会 /現:一般社団法人防府観光コンベンション協会/山口県防府市
山口県防府市の大道小俣地区には、「笑い講」という神事が鎌倉時代から続いている。伝統神事「笑い講」が持つ「笑いの魅力」を庶民文化として世界中の人に広げ、世界中の人が笑顔で平和に暮らせることを目的に「世界お笑い協会」を設立し、「笑いの街づくり」を進めている。「世界お笑い協会」では、防府版万歳三唱の「お笑い三笑」や防府版健康体操の「お笑い体操」を開発した他、笑いの迫力や品位を競う「お笑い講世界選手権大会」を開催している。「笑いの聖地」として地域住民が未来に誇れる街づくりを進めている。

5.鬼と炎が舞う長岩屋修正鬼会(長岩屋修正鬼会保存会/大分県豊後高田市)
豊後高田市は、平安・鎌倉・室町時代に仏教文化の華開いた仏の里である。修正鬼会は養老年間に諸願成就のために仁聞菩薩が六郷山二十八ヶ寺の僧侶を集め「鬼会式」六巻を授け、勤業するようになったのが始まりであると伝えられている。江戸時代の国東半島では、20ヶ所以上の寺院で行われていましたが、現在は天念寺を含め3ヶ所でしか行われていない。この長岩屋地区は過疎地域にありながら、地区を離れた若者たちも「修正鬼会」を後世に継承するため協力し、地元の小中学生にお囃子なども含めた指導を行うなど地域が一丸となって活動している。

6.山口鷺流狂言伝承者育成プロジェクト~子ども達に残す鷺流狂言~(山口鷺流狂言保存会/山口県山口市
山口の伝統芸能である「鷺流狂言」の保存・伝承活動。子ども向けの狂言教室や成人向けの伝習会を定期的に開催して、狂言の面白さや残していく意味を伝え、担い手の確保に努めている。また、山口市内を中心にワークショップや公演も積極的に行っている。


7.未来へつなぐ子ども達の健康と健やかな成長を~田井の子供神相撲~(田井子供神相撲保存会/香川県高松市
田井子供神相撲は、六萬寺の境内にある愛宕神社の秋祭りの奉納行事として社殿の前で行われる。約800年前に安徳天皇の行在所となった際に、子どもたちが神相撲をとったことが起源とされている。小結・関脇・大関役の子どもたちが、社殿に向かって、土俵入りを行い、四股を踏み、さまざまな所作を行い、神事としての相撲が継承されている。相撲に親しんでもらうことを目的に「タオル相撲」という新しい取り組みも交えながら、自治会や小学校と連携をはかり、継承に努めている。

8.「くも合戦」保存プロジェクト(姶良市加治木町くも合戦保存会/鹿児島県姶良市
全国的にも珍しい習俗となっている「クモ合戦」(国選択無形民俗文化財)は、メスのコガネグモを棒上で戦わせる伝統的な大会である。地元の教育機関と連携し、子供たちと行うクモ採集や「出前くも合戦大会」等を通じて次世代への継承に努めている。大会後はクモを元の生息場所へ戻す等、クモの生態・生息地に配慮しながら、伝統文化の保全・継承と関連させた環境保全活動が同時に進められている。

~2021年度の未来遺産運動は、以下の企業にご協力いただいています~
東日本旅客鉄道株式会社、住友ゴム工業株式会社、ジェットスター・ジャパン株式会社、株式会社明治 
後援:読売新聞

<未来遺産運動について詳しくはこちら>
https://www.unesco.or.jp/activities/isan/heritage-for-the-future-project/

<日本ユネスコ協会連盟について詳しくはこちら>
https://www.unesco.or.jp/aboutus/

配信元企業:公益社団法人 日本ユネスコ協会連盟

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