俳優の市村正親が、10月10日放送の「日曜日の初耳学」(MBS/TBS系)に出演。林修のインタビューに答え、ミュージカル界のレジェンドならではの徹底した役作りと演技への熱い思いを語った。さらに、今注目しているという5人の後輩俳優についても打ち明けた。
【写真を見る】市村が模写したというゴッホの絵。驚きの完成度!!
■「模写をすると、乗り移ってくる」
24歳の時に劇団四季でデビューした市村。「キャッツ」「オペラ座の怪人」「ミス・サイゴン」など、これまで出演した作品は実に101作。72歳にして日本のミュージカル界をけん引する大スターだ。
演技への思いも熱い。林先生が“感情を込めた表現”について「どうお考えですか?」と尋ねると、「感情は“込める”ものじゃない。感情は“出る”ものなんだね。出させるためにはどうしたらいいか。それは、役を掘り下げて研究して」と語り始めた。
舞台「炎の人」で画家ゴッホを演じた際には、ゴッホがどういう人間だったのかを“体験”し、耳を削ぐに至ったゴッホの感情を知るため、数カ月もの時間をかけてゴッホの絵のほとんどを模写。絵に心血を注いだゴッホに徹底的に向き合った。
「模写をすると、(ゴッホの感情が)乗り移ってくる」という市村。その時に描いた絵は本物と見紛うほどの完成度で、スタジオからも「えーっ!」「めちゃめちゃ上手!」と驚きの声が上がった。
ひたすらキャンバスに向かい、ゴッホに近づいていった。「(劇中で)描く場面があるんです。その時に、描いたものを破くっていう場面もあるんです。その時に“実感”が欲しいんです。演技は演技なんだけど、実は“生きる”ことなんですよね。架空の世界で違う役を“生きている”んです」と、舞台上で得る特別な感覚を、市村ならではの言葉で表現した。
家族の絆をテーマにしたミュージカル「屋根の上のバイオリン弾き」では、3人の娘を愛する父親の人生を生きた。「本当にそこにいるのは、女優さんだけど自分の女房であり、みんな自分の娘なんです。自分は父親なんです。父親の“ふり”をしているわけじゃないんです。次女がロシアの人とシベリアの方に行くときは『行かないでくれ』って自然に涙が出てくる。役作りをしていく上で、最終的に感情が出てきちゃう」と明かした。
■市村正親がほれ込んだ5人の後輩俳優
インタビューでは、そんな市村が驚いたという5人の若い後輩俳優の名前も飛び出した。
藤原竜也と山田孝之、小栗旬は、市村いわく“狂気俳優3人組”。市村は「会うとそんなでもないんだけども、怖いよ! 演技しているときは」「お三方とも“芝居バカ”なんです。(役に)入って、その中で生きる人なんです。入り込める人間だから、怖さが出てくる」と絶賛した。
蜷川幸雄演出の舞台「太陽2068」(2014年)を観劇した際にほれ込んだのが綾野剛。「見終わった後、面識もないんだけども(楽屋に)行って、『すごくいいね、これからもとっても楽しみにしているんで、また舞台やってください』みたいな(話をして)。褒めているうちに感極まって涙出てきちゃったんです」と回想。「入り込んでいって、そこの役を生きられる人ってやっぱりすごい」と、改めて自身が考える“好きな俳優”像に思いを馳せた。
堂本光一も市村の心の琴線に触れるミュージカル俳優だ。市村は「堂本くんとは結構仲良くて、彼のミュージカル(「Endless SHOCK」)も見たりする。普通、歌い始めると『俺の歌を聴いてくれ』みたいな役者のスケベ根性が入るんです。堂本くんは、そのスケベ根性がないんですよ」と絶賛した。
目をキラキラさせながら、“演じるとは?”“理想の俳優像とは?”について熱く語ってきた市村。東京公演が開催中のミュージカル「オリバー!」では、息子と舞台初共演中。
「非常に幸せです。こんな幸せなことないですよ」と笑顔で語り、「これから挫折して、苦しんで、惨めな思いもしたりしながら一つ一つ積み重ねていくと思うんです、僕と同じように。それがすべて自分のためになる。俳優の糧になる」とメッセージを送った。
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