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ロータスの軽量化の精神に通じる

執筆:Matt Prior(マット・プライヤー)
翻訳:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
筆者は、ナローボディのケータハム・セブンが好きだ。ロータスの、軽量化の精神に通じていると感じるから。

【画像】ケータハム・セブン 170と160 セブン由来のスポーツモデルは他にも 全108枚

試乗車にはオプションのローワード・フロアが装備され、ドライビングポジションは標準より低い。さらにコンポジット・シートで下げられている。4点ハーネスも、エンジンのパワーやタイヤ以上にシリアスな雰囲気を高めている。

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ケータハム・セブン170 R(英国仕様)

155/65のタイヤで包まれる、14インチ・ホイールは細身。ディスク面はセンター部分が高く、ホイールキャップに見えなくもない。

筆者としては、従来の160が履いていたスチールホイールの方がカッコイイと思う。アルミホイールの方が軽いのかもしれないけれど。85psと11.8kg-mという数字を考えれば、タイヤ幅は充分に足りているようだ。

ちなみに、スタットボルトのPCD値はスズキ車に準じるため、通常のセブン用ホイールは履けないという。

小さな軽自動車用3気筒エンジンは、アイドリング時からとても静か。そのことを好ましく感じるドライバーも多いだろう。今回の取材では観光客の多い自然の中で撮影を行ったが、何度も止まったり往復しても、不快そうに目線を向けてくる人はいなかった。

コンペティション・エグゾーストの典型的なケータハムなら、排気音は大きく迫力もある。でも、案外直ぐに聞き疲れてしまうものだ。

660ccでも大多数のモデルより運転が楽しい

確かに静かなエンジンだが、ドライバーとの距離が遠いわけではない。音響体験は他のセブンとは異なるが、3気筒ターボらしいオフビートを伴い、アフターファイヤーで弾けるノイズが楽しめる。

アクセルペダルのレスポンスも、170シリーズ以外のセブンとは違う。充分魅力的といえるものの、ダイレクト感が弱い。慣れるまで、少し不自然さを感じる人もいるだろう。

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ケータハム・セブン170 R(英国仕様)

乗り心地は良好。170 Sの方がさらに良い。軽量なボディのおかげで、大きな隆起などを超えるとボディが弾かれる。それでも姿勢制御は素晴らしく、しっかり路面へ追従し落ち着きもある。

グリップの限界は他のセブンと比べれば低いものの、郊外での積極的な走りを充分に受け止められる水準にはある。LSDを装備していても、テールを流すには挑発的な操作が必要なほど。今回は天候に恵まれたが、濡れた路面なら、より自由度が高まるはず。

もしドリフトでの爽快なコーナリングを楽しみたいなら、シャシーバランスへ手を加える以上に、直線的なアクセルレスポンスと太いトルクが必要になりそうだ。しかし170 Rの最大の魅力は、その身近さにあると思う。

スーパーセブン1600に備わるスロットルボディと、排気量の余裕が生むリニアなレスポンス、13インチミニライト・ホイールが、筆者を誘惑することは確か。しかし、大多数のスポーツカーより、小さなセブンも運転が楽しいことは間違いない。

まるで真新しい状態のクラシックカー

日本のドライバーの多くが、170シリーズの「R」を方を好むことは想像できる。同時に、170 Sが漂わせる、よりリラックスした雰囲気も筆者は好ましく感じた。標準サスペンションクッションの効いたレザーシートが備わり、乗り心地はだいぶ良い。

キャスター角を調整することで、より軽快でレスポンシブな操舵感を得ることも可能だろう。Rより着座位置がやや高めなこともあって、Sの方が変速もしやすい。

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ケータハム・セブン170 R(英国仕様)

フロントガラスに通常のシートベルトを装備した170 Sは、まるで真新しい状態のクラシックカーのようにすら感じられた。これにスチールホイールを履いたなら、一層見栄えするに違いない。

筆者ならLSDを組みたいところ。エントリーグレードのセブン170 Sでも、コレぞという仕様で仕立てられるはず。コンフィギュレーターへアクセスし、じっくり時間をかけて悩んでみてはいかがだろうか。

ケータハム・セブン170 R(英国仕様)のスペック

英国価格:2万3990ポンド(369万円)
全長:3100mm
全幅:1470mm
全高:1090mm
最高速度:168km/h
0-100km/h加速:6.9秒(予想)
燃費:20.7km/L
CO2排出量:109g/km
車両重量:440kg
パワートレイン:直列3気筒660ccターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:85ps/6500rpm
最大トルク:11.8kg-m/4000-4500rpm
ギアボックス:5速マニュアル


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