過去のゲーム作品の復刻──。
 それは、ゲームの発売当時を知る者からすれば懐かしさを感じられるものであり、当時を知らない者にとっても、普段の生活でお目にかかる機会の少ない名作をプレイすることのできる、またとないチャンス。
 近年では、過去作のデジタルリマスターや移植が盛んに行われており、押しも押されぬ名作から知る人ぞ知る作品まで、様々なゲームが復刻により新たなファンを獲得しています。

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 さて、今回ご紹介するのは、6月23日に発売予定のソニックオリジンズ・プラス』
 SEGAの看板キャラクターであるソニック・ザ・ヘッジホッグを主人公とするソニックシリーズの原点ともいえる、4本の初期作のデジタルリマスター版を収録したソニックオリジンズ』に、新要素を追加したゲームです。
 
 そして、『ソニックオリジンズ・プラス』の新要素の中で、一際目を引く文言が、ゲームギアソニック、12タイトル追加”

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ゲームギア(画像はゲームギア |セガ SEGAより)

 「ゲームギアとは何ぞや」という方のために簡単に説明させていただきますと、ゲームギアとは、1990年10月6日にセガから発売された、別売りのTVチューナーパックを装着すれば携帯テレビとしても使用することができたという、カラー表示が可能な携帯ゲーム機のこと。

 33年近く前の携帯ゲーム機ですから、当然、現在では生産されていません。色々と手法は考えられますが、一般的に考えれば、ゲームギアのソフトをプレイできる機会はかなり少ないと言えるでしょう。

 そんなゲームギアのソフトが12タイトルも遊べる……。そんな甘い言葉を聞かされてしまっては、収録タイトルを確認する前から、レトロゲーム好きとして否応なしにテンションが上がってしまうというもの。

 そこで今回は、デジタルリマスターと移植という過去作の復刻における二大要素を兼ね備える『ソニックオリジンズ・プラス』について、その追加要素であるゲームギア12タイトルを中心に、お話しさせて頂きたいと思います。

※『ソニックオリジンズ』を既に購入している場合は、DLC『ソニックオリジンズ:エクスパンションパック』を購入することで、『ソニックオリジンズ・プラス』を楽しむことができます。

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文/DuckHead

『ソニックオリジンズ・プラス』公式サイトはこちら

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ソニックで、レッツぷよ勝負!

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Missionモードの、ゲームギア

 さて、今回の『ソニックオリジンズ・プラス』で追加される、ゲームギアの移植タイトルは、なんと全部で12作。かなり太っ腹な数ですね。

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 ゲーム選択画面はこんな感じ。右枠には作品のタイトル画面と、ゲームについての紹介文が表示されています。

 それでは、早速遊んでみましょう!

 右枠の紹介文を読んで、一番面白そうなゲームで遊ぶ……のもいいんですが、実は今回、収録タイトルを目にした時点で、最初にプレイするゲームは決まっていました。

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 そのゲームは、ドクターエッグマンのミーンビーンマシーン
 こちらのゲーム、北米でのみ発売されたタイトルということで、タイトル画面も英語表記。画面左上には、Dr.エッグマンではなく “Dr.Robotnik” という名が書かれていますが、これは、ソニックの宿敵であるDr.エッグマンの別名で、Dr.RobotnikDr.エッグマンは同一人物であるとのこと。

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 さて、本作のストーリーは、Dr.エッグマンが、陽気な豆たちが住むビーンヴィルの住人たちを悪い小型ロボットに変えてしまう、“ミーンビーン・スチーミングマシーン(直訳すると、悪い豆蒸し器)” を開発したところからスタート。
 彼は子分のロボットたちを使って、ビーンヴィルの住民たちを洞窟へと追いやり、4人以上の住民を1組のグループとして、マシンの中に投入し、村をメチャクチャにしようとします。
 そんな中、人々を守るために立ち上がったのが、我らが主人公。彼はビーンヴィルの人々をDr.エッグマンの魔の手から守るため、4人以上の住民を1組のグループとして、洞窟から助け出していくこととなります。

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 そしてこいつが、Dr.エッグマンと子分のロボットたち。まずは画面中央に堂々と鎮座するDr.エッグマンの周囲を取り囲む子分たちを全て倒し、そのあと本丸であるDr.エッグマンを撃破すればゲームクリア。つまり、本作は全13ステージというわけですね。

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 前口上が長くなりましたが、お待たせいたしました。こちらが、『ドクターエッグマンのミーンビーンマシーン』のプレイ画面です。

 ……この画面に既視感がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 そう、実は『ドクターエッグマンのミーンビーンマシーン』は、落ち物パズルの金字塔ぷよぷよです。『ぷよぷよ』に似ているゲームではなく、ぷよぷよ』そのもの。登場キャラクターこそ違えど、システム面に関しては、純度100%、完全に『ぷよぷよです。

 それもそのはず、本作は『ぷよぷよ』の海外版。
 本作の発売当時は、アルルなどといった『ぷよぷよ』のキャラクターたちをそのまま使用した場合、ソフトの売り上げが芳しくないものとなることが予想されたため、それらの登場キャラクターを全て、当時海外で制作されていたソニックのアニメ『アドベンチャーズ・オブ・ソニック・ザ・ヘッジホッグのキャラクターに置き換えて発売することになったのだそう。

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Dr.エッグマン

 ちなみに、先ほどから登場しているDr.エッグマンが、我々のよく知る彼の姿と少々デザインが異なっているのも、アニメ版のデザインを使用しているからなんだとか。

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 ……12作ものソニックゲームが豪勢に並べられた中で、いの一番に遊ぶようなタイプのタイトルでは決してないということは重々承知しています。

 非常に個人的な理由ではありますが、以前に某動画サイトメガドライブGenesis)版のプレイ動画でこのゲームを知り、その発売経緯の面白さに触れてPC版を即購入していた身としては、この機会にゲームギア版をいち早くプレイしてみたかったのです。
 「恐縮だが、『ドクターエッグマンのミーンビーンマシーン』を最初にプレイしてくれないか?」という脳内に響き渡る声に抗うことはできませんでした。

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『Dr. Robotnik’s Mean Bean Machine』(PC)

 余談ですが、こちらが『ドクターエッグマンのミーンビーンマシーン』のメガドライブGenesis)版をPCへ移植した作品のプレイ画面。ご覧の通り、メガドライブ版では、完全にぷよがぷよのままとなっています。ゲームのストーリーに寄り添うならば、ぷよではなくビーンヴィルの住人と言うのが正確なんですけれども。

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 そして、改めてゲームギア版に視線を戻してみますと、ぷよからぷよっぽさが少し無くなっていることも分かります。こういったゲーム機種による違いを探すのも、移植作をプレイする上での楽しさの1つです。

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 さて、本作で使われているルールは、現在一般的に広く知られているぷよぷよ通のルールではなく、初代『ぷよぷよ』のルール。
 具体的にこの2つのルールがどう違うのかと言いますと、『ぷよぷよ通』では、ぷよを連鎖したりすることで対戦相手に送り付けることのできる “おじゃまぷよ” を、逆に連鎖をやり返すことで “相殺” し、その数を減らしたり逆に相手に送り返したりすることができるのですが、初代『ぷよぷよ』では、この相殺の概念が存在しないのです。この他にもいくつか違いはありますが、一番大きいのは間違いなくこの点でしょう。

 では、相殺の概念が存在しないと、ぷよ勝負はどのような形にその姿を変えるのか。その答えは簡単、いかに早く相手を死に至らしめるに十分なおじゃまぷよを送り付けるかの戦いになります。つまるところ、時間をかけて大連鎖を組む必要が無くなり、シンプルなスピード勝負になるというわけです。

 初代『ぷよぷよ』は、あまりにも大味な勝負となってしまうルールなので、ゲームとして考えれば、間違いなく『ぷよぷよ通』の方が優秀だとは思うのですが、大連鎖を組むのが苦手な私としては逆にこれは好都合。このルールであれば、スピードで押し切れば、ゴリ押しさえ通れば、超余裕で勝利をこの手につかみ取ることができます。

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 ……が、ステージが後半に進んでいくに従って、ぷよの落下スピードが徐々に増加。
 スピード勝負とは言いましたが、それは、ぷよの落下スピードが常識的な範囲である場合の話。常識を逸脱したレベルになってしまうと、プレイヤー性能の限界を超え、思考も指もぷよの動きも何もかもが追いつかなくなってきます。

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 ……そして無情にも訪れる、ゲームオーバーの時。
 ノーミスでクリアもいけるんじゃないかと高をくくっていましたが、そうは問屋が卸してくれませんでした。

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 ということで、ここで『ソニックオリジンズ・プラス』の便利機能を1つご紹介。本作では、ゲーム中にポーズをかけることで、いつでも好きなタイミングで中断セーブをすることができます。各ゲームギアソフトにつきセーブデータを1つずつ作成することができ、これをロードすることで気軽にリトライすることが可能。ゲームソフトによってはかなり楽になるので、どの程度使用するかは、プレイヤーの裁量次第といったところでしょう。

 ちなみに、このソフトでは、デモ画面を飛ばせるのと、偽りのハイスコアをその手に収めることが出来る程度しか、セーブ&ロードのメリットはありません。

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 さて、セーブ&ロードによるコンティニューと諦めない心という泥臭い武器を駆使してステージを先へ先へと進めていきますが、より進行度が増していくにしたがって、更にぷよの落下スピードが増加。ぷよの操作性そのものにも絶妙なクセがあり、苦戦を強いられることとなります。

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 そして、幾度とないセーブ&ロードの果てに、ついにラスボスDr.エッグマンに到達。

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 子分ステージ中盤から覚悟はしていたものの、ラスボス戦は、ほぼノータイムでぷよが下まで落ちてくるという、こちらの予想を遥かに超えるとんでもないスピード。

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 私のような雑魚プレイヤーでは、ぷよをどこに置くべきか考えている余裕はほぼなく、連鎖などはもってのほか。とにかく、何よりも死なないことをモットーに、倒すためのぷよぷよではなく、生き残るためのぷよぷよに心血を注ぐことに。

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 そして、伝家の宝刀セーブ&ロードをこれでもかと言うほど使い倒し、ようやくの思いでDr.エッグマンを撃破。
 もう少し綺麗に勝ちたいところではありますが、四半世紀近くウデマエの向上が見られぬままここまで生きてきてしまっているのですから、仕方がありません。次の四半世紀もこんな調子で苦しみ続けることになるのでしょう。今から将来が楽しみで仕方がありませんね。
 あと、静止画と文章だけで『ぷよぷよ』のプレイレビューをするのは無謀でしかありませんでしたね。

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 Dr.エッグマンを倒して迎えるエンディングでは、ビーンヴィルの住民たちが救出され、物語が大団円を迎えます。実際の画面については、『ソニックオリジンズ・プラス』本編でチェックしてみて頂ければと思います。

 ……そういえば、しっかりと説明していませんでしたが、このゲーム、実は主人公がソニックではありません

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『Dr. Robotnik’s Mean Bean Machine』(PC)

 PC版の画像になりますが、こちらの “HAS BEAN”が、本作の主人公。彼はビーンヴィルの住民としてDr.エッグマンに戦いを挑んだ英雄です。

 ……はい、そうです。 HAS BEAN は、『ぷよぷよ』シリーズのマスコット的存在であるキャラクター、カーバンクルそのものです。

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 こちらの HAS BEAN、PC版等ではプレイ画面中央にその姿を見ることが出来ますが、ゲームギア版にはほぼ登場せず、その姿を拝むことができるのは、ステージクリア後のパスワードでたまーに表示された時だけ。カーバンクルそのものなので仕方がない部分があるにせよ、中々に不遇な扱いです。

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 こんな感じで、掘り下げていくと面白いところが山のように出てくる『ドクターエッグマンのミーンビーンマシーン』ですが、まだ11作のゲームが後に控えていますし、ソニックが登場すらしていないので、今回はこのくらいにしておきましょう。