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立ち入り検査のためビッグモーターの店舗に入る国土交通省の職員(写真:時事通信

中古車市場の信頼を大きく揺るがせた中古車販売大手「ビッグモーター」の保険金不正請求問題。上司によるパワハラや街路樹への除草剤散布なども露呈したが、同社の不祥事は尽きないようだ。

国土交通省10月13日、今年7月に道路運送車両法に基づく一斉立ち入り検査を実施した整備工場34カ所に対する行政処分案を公表。34カ所の工場全てに法令違反が確認され、いずれも10~90日間の事業停止に。悪質性が高い12工場では最も重い処分とされる民間車検場の指定取り消しが下される方針だ。

「検査の結果、点検や整備にかかる費用の過剰請求や整備記録簿の虚偽記載などが確認され、一部検査を実施せずに車検に通すといった事業所もあったといいます。国交省10月20日ビッグモーターを聴取し、処分を決定する見通しです。国交省は法令違反が確認された34カ所を含む135カ所の事業所について、不正行為の有無をビッグモーターに自主点検するよう指示していました。残る101カ所の事業所にも不正が確認されたら、処分する方針だといいます」(全国紙記者)

立ち入り検査が入った整備工場が、現時点で“不正率100%”と判明したビッグモーター。斉藤鉄夫国土交通相(71)が会見で「極めて遺憾だと考えております」と憤りを見せたように、SNS上でもあ然とした声が相次いでいる。

《いよいよ終焉だねー》
《悪いことをすればいつかバチが当たるを見事に体現した会社》
《もうこの会社はアウト。潰れるか、物凄く規模を縮小するかしかないね》
《未だに潰れていないのが信じられん。甘すぎ》
《34工場の全てを業務停止にするという誰も越えられない金字塔を打ち立てたビッグモーターさん流石っす》

7月25日に創業者の兼重宏行前社長らが記者会見を開いて、まもなく3カ月。当時専務だった和泉伸二社長は、不祥事が発覚した影響について「販売台数、買取台数は、通常に比べて約半減しているのが事実」と述べていた。だが以降も次々と不祥事が明るみになり、もはや社会全体から“総スカン”されている状態だ。

「同社においてゴルフボールを靴下に入れて振り回して車体に傷をつけ、修理費を水増しして保険金を不正請求していたのは板金塗装部門でした。いっぽう今回明らかになったのは、整備工場での不正行為。“不正車検”なんて許されるはずがなく、会社全体で顧客を欺いていたといっても過言ではありません。

帝国データバンクの調査によれば、同社は昨年度のシェア首位で約15%(推定約5800億円)を占めていました。しかし数々の悪質な不祥事によって中古車業界全体がイメージダウンし、消費者が買い控えをする可能性も指摘されています。クリーンな同業者にとっては、風評被害を受ける事態に。

顧客離れだけでなく、今年8月には銀行団が同社の借入金90億円の借り換え要請に応じませんでした。銀行が融資をするといった可能性は今後も考えられませんし、同社の経営再建は絶望的でしょう」(前出・全国紙記者)

ビッグモーターの信用はどこまで落ちるだろうか――。その結末を多くの国民が注視している。