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世界市場における日本企業の凋落に歯止めがかかりません。なぜこのような惨状に陥ってしまったのでしょうか。今回のメルマガ『週刊 Life is beautiful』では著者で世界的エンジニアとして知られる中島聡さんが、先日行われた講演で自らが語った「日本企業が世界で通用しない理由」を記しています。

※ 本記事は有料メルマガ『週刊 Life is beautiful』2018年12月11日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール中島聡なかじまさとし
ブロガー/起業家/ソフトウェア・エンジニア、工学修士(早稲田大学)/MBA(ワシントン大学)。NTT通信研究所/マイクロソフト日本法人/マイクロソフト本社勤務後、ソフトウェアベンチャーUIEvolution Inc.を米国シアトルで起業。現在は neu.Pen LLCでiPhone/iPadアプリの開発。

なぜ、日本企業は世界で通用しないのか

先日、日経BPのイベントでの講演しました。私の書物に掛けて、「なぜあなたの仕事は世界で通用しないのか」というタイトルでの講演を依頼されたのですが、問題は本人よりも組織の問題である場合が多いので、主にそちらの話をしました。つまり、実際の内容は「なぜ日本企業は世界で通用しないのか」というタイトルが相応しいものです。

大きな理由として、三つを上げました。

最初の二つは、主に日本の大企業に当てはまる話ですが、経団連を見ても分かる通り、日本の大企業は、パソコンもまともに使えない「IT音痴」な人ばかりです。そんな連中が経営をしている限り、どう考えてもAmazonやGoogleと戦えるわけがなく、そこを治さない限りは、日本企業は沈んで行くばかりです。終身雇用制と年功序列の弊害です。

米国の場合、そんな企業はさっさと市場から消えてしまいますが、日本の場合は、多くの従業員を抱えた大企業は出来るだけ倒産させない、という日本政府の方針もあり、その手の企業がいつまでもゾンビ状態で生き残る構造になっているのが大きな問題です。企業の健全な新陳代謝が進まないのも大きな問題です。

二つ目は、ここでは何度も話している話題なので、説明は省略しますが、ITゼネコンと呼ばれる大手IT企業だけでなく、家電や自動車を作っているハードウェアメーカーまでもが、同じように「(理系の大学を出た)正社員仕様書を書き、下請けの(安月給の)プログラマーがコードを書く」という根本的に間違ったソフトウェアの作り方をしているため、優秀なエンジニアが育たないし良いソフトウェアが作れないのです。3K(きつい、給料安い、帰れない)と呼ばれるブラックな職場が出来る原因もここにあります。