在宅勤務はますますポピュラーなものになりつつある。
スイスのオフィスプロバイダー、IWG社によって行われたある研究によると、専門職の7割の人が週に1度は自宅で仕事をしており、5割は週の半分まで自宅で仕事をしているという。
また中には社員全員が在宅勤務で、決まったオフィスはないという多国籍企業もあった。
こうした勤務形態にはメリットもあるが、意外な落とし穴もあるそうだ。人によってはメンタルヘルスに悪影響があると懸念されているのだ。
いつでも仕事ができる。これは便利である反面、仕事のオンとオフの境目が曖昧になって心が休まるときがなくなってしまう。
2017年の欧州生活労働条件改善財団のレポートによると、リモートワーカーの41%が非常に高いストレスを受けていると訴えたのに対し、オフィス勤務者では25%にとどまったという。
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「除け者にされている」と感じやすい在宅勤務者たち
そうなる理由のひとつは、在宅勤務者によくある「去るものは日々に疎し」的な考えかもしれない。
普段オフィスにいないとなんだか自分が部外者のように感じられ、職場に不信を感じるようになるのだ。
下手をすると自分のいないところで同僚に悪口を言われているのではないか、といった心配までするようになってしまう。
1100人を対象とした研究によると、在宅勤務者の52%が除け者にされて不当に扱われていると感じやすく、自分自身や同僚との問題にも対応できないのだそうだ。
在宅勤務をする上では、直接会うことのないヴァーチャルなチームの微妙な領域をうまく渡る力が絶対に必要だ。
メールは何かと誤解されがちだし、ボディランゲージが一切使えない状況では真意を伝えるのがいっそう難しくなる。
またヴァーチャルな環境では業務にばかり注意が向きがちで、人間関係がおろそかになる。
ついでに、そうしたチームを率いるリーダーは誰が実際に作業をしているのかということを忘れがちだ。
締め切りや作業内容ばかりが強調されると、在宅勤務者たちは大切なチームの仲間というよりも機械の歯車のように扱われていると感じるようになる。
これが在宅勤務者の孤立感を深め、大きなストレスとなる。
フィードバックの欠如や孤立しがちな作業環境が弊害に
孤立感、孤独感、”オフ”になれないこと、仲間からのサポートの欠如はいずれも問題だ。しかし、より重要なのは在宅勤務者が管理される方法である。
上司や先輩などからフィードバックをもらえないと、自分の仕事ぶりを客観的に評価する基準がなくなってしまうのだ。
すると、「自分はきちんと仕事ができているのだろうか?」と不安を募らせる結果につながる。
仕事にはいいストレスと悪いストレスがある。「ヤーキーズ・ドットソンの法則」によれば、ストレスがあるとある程度までは生産性がアップする。
ところが、それ以上のストレスがかかると逆に生産性が低下してしまう。
ストレスを感じていることを誰にも伝えられない環境は弊害をもたらす。プレッシャーは個人が耐えられる限界を徐々に超えてしまいがちなものだからだ。
それとは対照的に、最近の研究からは、15分でも同僚と話をしてストレスを打ち明けることができるとパフォーマンスが20%向上することがわかっている。
ますます一般的になる在宅勤務に適したマネジメントの確立
在宅勤務の意外なつらさを克服する鍵は正しいコミュニケーションだ。
オフィスに出てこない従業員に対しては、定期的なビデオ電話や結束力を高めるためのミートアップを行って、彼らをきちんとチームの中に組み込まねばならない。
また、在宅勤務者を管理する立場にある人は、彼らがきちんと評価されていると感じられるような制度や文化を作り上げねばならない。
こうした勤務形態は今後ますます一般的になることだろう。
ならば、どうすれば在宅勤務の生産性を上げて成功を収められるのか、どうすれば日々の生活を幸せに過ごすことができるのか、全員が考えねばならないのである。
その方法は、お昼休みに同僚と交わす会話から、ジムでの運動、友達との電話、お気に入りの本を読むことまで多岐に渡るだろう。
避けられない潮流であるならば在宅勤務のメリットをフルに発揮し、同時にそれに付随するストレスに対処する方法を見つけねばならないのだ。
References:Eurofound / CNBC / Inverse / Fast company / HBRなど / written by hiroching / edited by usagi
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