鉢呂吉雄・前経済産業相

鉢呂吉雄・前経済産業相

ニコニコニュース(オリジナル)

 鉢呂吉雄・前経済産業相は2011年9月10日夜に行なわれた辞任記者会見で、今後、一議員として被災地に向けてどのような活動を行なっていくかとの問いに対して、福島県の子どもの被ばくと除染の問題について「(今後も)私なりにやっていきたい」と語った。

 鉢呂氏は、大臣に就任する前に2度にわたって福島入り。子どもの生活圏や年間被ばく線量等の問題について地元の教育関係者らと話し合いを行なってきた。

 東京電力福島第1原発事故で飛散した放射性物質の除去に向け、政府が策定を進めていた「除染に関する緊急実施基本方針」にも関与。8月23日に公表された基本方針の原案では、「子どもの学校生活、1日8時間200日」を対象として「1ミリシーベルトに近づき、そしてそれを下回る」ことを目指すとされていたが、鉢呂氏は「これはおかしい」と菅直人首相(当時)と細野豪志原発担当相に指摘。「"子どもの生活圏、1年をトータルとして"1ミリシーベルトに近づけ下げる」と変更するよう、働きかけたことを明らかにした。

 また、政府が8月に福島県に設置した除染推進チームを中心に進めている除染作業については、「国自体がマニュアルがない状態。研究機関の支援もして、除染の作業のスキームを早急に作る」必要性を強調。「金もかかるが、金の問題ではないという観点で、除染作業活動が一番の大きな柱になってくる。これについても私なりにやっていきたい」と述べ、被災地に対する一議員としての活動の決意を会見の最後に語った。

 鉢呂氏は9月2日に発足した野田政権に経済産業相として初入閣。在任期間は、7月5日に引責辞任した松本龍復興担当相と同じ9日間だった。

■鉢呂経産相とニコニコ動画記者(七尾功)とのやりとり

七尾記者: 大臣は福島第1原発や現地をご覧になって(様々な実情を体感されてきた中で)今回こういうことになり大臣から一議員に戻るわけですけれども、今後、原発周辺の方々のために一議員としてやろうと考えている事がございましたらおきかせください。

鉢呂経産相: ぼくは26日の原子力災害対策本部の今後の除染、あるいはセシウム等の濃度の関係(についての)原案は新聞報道で見ただけだったんですが、特に子どもさんの学校生活、1日8時間200日についての指針。この段階で1ミリシーベルトに近づき、そしてそれを下回る、という書きぶりだったんでありますけれども、これはおかしいと。

 福島にちょうど24日に行ったものですから、教育関係者の皆さんから、これでは子どもさんが1年間トータルで生活しておるわけだから学校はむしろグランドの土壌の隔離をしたり、学校のいろんな活動で今一番学校が鉄筋コンクリートでもあるので低い形になっていると。むしろ通学路ですとか、家庭での環境、これをトータルで言わないでどうするんだと。何か60%削減とか、40%削減というのも、元になる汚染度からいけば%で削減する問題ではないのだと。こういう(現地の学校関係者との対話の中での)お話だったものですから、菅総理と細野大臣ともお話をして、1枚の紙になっていたのですが、きちんと子どもさんの生活圏として、1年トータルとして、これを1ミリシーベルトに近づけ下げる、この事を出していただきました。

 ですから、こういう形でこの前に行った伊達市、あるいは学校等でもやってましたし、集落でも一帯で、山林も、畑も、住居の周りも含めて除染の実証的なモデル的なことを一生懸命やっておりました。そういうところをいっぱい作って、確かに国に言ってもこうをやれという指示が出てこない。国自体がマニュアルがない状態ですから、まさにそこのところでしっかりと国ももちろん支援し、いろんな研究機関も支援をして、これなら大丈夫だという除染の作業のスキームを早急に作ってそれを全県に広げる、この役割はやはり非常に大事だしお金も掛かりますがお金の問題ではないという観点で、除染作業活動が一番の大きな柱になってくる。これについても私なりにやっていきたいと思っています。

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七尾功

鉢呂吉雄・前経済産業相